運動中の脳疲労を測定
2025-10-28 10:31:00

激しい運動中の脳の疲労を表情から測定する方法が明らかに

表情から読み解く運動中の脳の疲労



最近の研究が示した興味深い事実があります。激しい運動中に選手の表情がどのように変化するのか、特に口元の動きが心理的状態にどのように影響を与えるのかを、新潟医療福祉大学の研究チームが分析しました。今回の研究は、運動強度を段階的に上げていく中での表情の変化を追跡し、運動中にどのように脳が疲労しているかを明らかにしました。

研究を行ったのは、越智元太講師と、学生たちを中心とする研究グループです。彼らは、運動中の表情をPythonを用いた表情解析ツールボックス(Python表情解析ツールボックス: Py-Feat)を使って記録し、16種類の表情の動き(Actions Units: AU)を解析しました。その結果、特にAU25(唇の開き)の動きが目立つ参加者ほど、集中力や注意力が低下していることが見て取れました。これは、運動中の脳の疲労を示唆する重要な指標となるかもしれません。

研究の背景



運動中は、身体だけではなく、脳も多大な負荷がかかります。特に、激しい運動時には、認知的な疲労が生じ、判断力の低下やパフォーマンスの減退を引き起こすことが知られています。しかし、運動中に脳の疲労をリアルタイムで評価できる方法は今まで存在していませんでした。本研究はそのギャップを埋める可能性を秘めています。

表情解析の利点



運動中の脳の疲労状態を体に負担をかけずに判断するこの方法は、アスリートにとって非常に有益です。これを通じて、集中力が欠けている状態を事前に察知し、運動プログラムやトレーニング管理に役立てることが期待されています。

また、この方法は、既存のカメラや顔認識デバイスと統合できるため、実用性も高いです。これにより、アスリートのみならず一般の人々にも、運動時の心身の状態を簡単に把握するツールを提供できるでしょう。

研究結果の詳細



この研究では、大学の健康な男子学生25名を対象に、サイクルエルゴメーターを使用して運動テストを実施しました。研究者たちは、運動中の表情をビデオカメラで録画し、Py-Featを用いて表情の動きを詳細に分析しました。同時に、心拍数や血中乳酸濃度、主観的運動強度(RPE)、および二次元気分尺度(TDMS)を用いて覚醒度の測定も行われました。

興味深い結果として、AU10 (上唇挙上)、AU17 (あご挙上)、AU25 (唇の開き)、AU26 (あご下げ) が運動強度や心拍数、血中乳酸濃度、RPEと関連していることが分かりました。特に中強度から高強度に移行する際には、AU25の変化が心理的覚醒度の低下と有意に関係していたため、この変化量が脳の状態を示す有力な指標であることが示されました。

研究の意義



この研究の成果は、多様な応用が期待されます。特に、アスリートのトレーニングプランへの組み込みによって、運動中の疲労を効果的にマネージすることが可能になるでしょう。また、スポーツだけでなく、一般の健康管理やフィットネスにも広がる可能性があります。

今後、この手法が広く普及すれば、運動環境における脳の健康管理が新たなステージに進むことが期待されます。新潟医療福祉大学の研究チームが生み出した画期的な方法が、未来のトレーニングや健康管理に影響を与える日も遠くないでしょう。


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