セツが語る思ひ出
2025-11-05 19:04:34

小泉八雲の妻・小泉セツが描く新たな歴史:『思ひ出の記』

小泉八雲の妻・小泉セツが描く新たな歴史:『思ひ出の記』



2024年12月、島根県松江の出版社から小泉八雲の妻・小泉セツによる回想記『思ひ出の記』が新装版として登場しました。この本は、初代日本文学者にして文豪とも称されるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)との13年間に及ぶ結婚生活を、小泉セツの視点から描いた貴重な一冊です。

この新装版では、旧仮名遣いから現代表記への改訂や、注釈の追加など、幅広い世代の読者が親しめるよう再編されています。セツが著す内容は、八雲の人間像をリアルに浮かび上がらせ、その生涯に触れることができる一歩となっています。

NHK連続テレビ小説『ばけばけ』との関わり



なんと、2025年9月に放送開始予定のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の制作陣も、この『思ひ出の記』を制作のバイブルとして参照していたことが明らかにされました。制作プロデューサーの橋爪國臣氏は、役者たちにこの本を読ませ、「私たちが目指す雰囲気はこういうものです」と伝えたそうです。

この影響のもと、主題歌を手がけたハンバートハンバートの佐藤良成氏も、「セツになったつもりで一気に曲を作りました」と述べており、セツの存在がドラマ全体に影響を与えているのは間違いありません。なお、『思ひ出の記』はこのドラマの原作ではないことにご注意ください。

小泉 終(凡)氏の解説



本書の解説には、小泉八雲記念館の館長であり、小泉セツの曾孫にあたる小泉凡氏が寄稿しています。凡氏は、「『思ひ出の記』は、セツの人生のクライマックス期を描いたものであり、ハーンの最も身近にいた者の回想記である」との評価を下しています。

新装版の特徴



新たに収録された小泉セツの手記には二編が含まれています。一つは「オヂイ様のはなし」で、セツの母方の祖父・塩見増右衛門にまつわる逸話が描かれています。増右衛門は松平家の家老を務め、義理を尽くした誠実な人物として知られています。セツは先祖への誇りを語り、感情豊かにその想いを述べています。

もう一つは、「幼少の頃の思い出」です。この手記では、幼少期のセツが「もらい子」であることを知ったときの複雑な心情や、養父母への感謝が描かれています。また、彼女が初めて出会った西洋人・ワレットとの印象深いエピソードも記されています。このエピソードは、セツと八雲の運命を示唆するような重要な一節として印象に残ります。

小泉セツについて



小泉セツは1868年に松江藩の家臣の家庭に生まれ、英語教師として来日したラフカディオ・ハーンと結婚しました。彼女は八雲の文学活動の最大の貢献者の一人とされ、往年の文学舞台を彩る重要な存在となりました。その晩年には、数多くの物語を世に送り出し、1932年に64歳で他界しました。

書籍の概要



新装版『思ひ出の記』は、表題作を含む134ページの書籍で、価格は1,760円(税込)です。ISBNは978-4-86456-533-2で、2024年9月26日にハーベスト出版から発行されます。ぜひ、この特別な回想録を手に取り、八雲とセツの歴史ある物語に触れてみてください。

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