天羽明惠の新たな音楽の旅
天羽明惠がまた新しい音楽の世界へと私たちを誘います。ベルリンやドレスデンの歌劇場でその名を馳せ、近年ではリートの分野で高い評価を受けている彼女が、新たにソロアルバムの第2弾を発表します。このアルバムは、シューマンの代表作《女の愛と生涯》と彼の晩年に手掛けた「レーナウ歌曲集」を収めた、これまでにない魅力溢れる内容です。
ドイツ歌曲の深淵
収録された2つの作品は、いずれも愛と人生の様相を対照的に描き出しています。《女の愛と生涯》は、シューマンが抱いていた理想の夫像とその理念の実現の間で揺れ動く姿を表現しています。この作品は、彼の妻クラーラへの深い愛情と、その裏側にある経済的な困窮という現実を色濃く映し出しています。
対照的に、約10年後に書かれた「レーナウ歌曲集」では、愛の終焉と伴う苦悩が表現されており、シューマン自身の挫折が詩の中に息づいています。これら2曲は、まさに“対の自画像”となるような構成を成しており、聴くものにとっては多面的な感情の旅に出ることができるでしょう。
ピアノの魔法
このアルバムでのピアノ担当は、北欧の名伴奏者ジークムント・イェルセットです。その深みのある音色と繊細な演奏によって、天羽の歌声と完璧に絡み合い、作品に新たな奥行きを与えています。この二人の共演は、聴衆を深い音楽の世界へと引き込むことでしょう。
アルバムとコンサートの情報
新アルバムは2025年10月29日にリリースされ、国内盤は税抜きで3,300円となります。録音は2022年7月にベルリンのb-sharpスタジオで行われました。歌詞の対訳も付いているため、ドイツ歌曲に馴染みのない方でも理解しやすい内容となっています。また、天羽明惠のドイツ歌曲シリーズ「ハイネとヘルダーリンと」に基づくコンサートが、2025年11月1日に東京オペラシティ リサイタルホールで開催されます。ドイツ歌曲の深い魅力を直接体験できる貴重な機会です。
天羽明惠とジークムント・イェルセットという二人の才能が織り成す音楽の世界に、ぜひとも耳を傾けてみてください。彼女の歌声は、聴く人々の心に深く響くことでしょう。音楽のもたらす感動を、そしてシューマンが描いた愛の物語を、このアルバムを通じて感じていただければと思います。