嶋津輝の最新作『カフェーの帰り道』11月刊行
著名な作家、嶋津輝が新たに紡いだ物語『カフェーの帰り道』が、東京創元社から11月12日発売されます。本作は、著者にとって3作目の作品となり、2023年に発表された長編『欅(たすき)がけの二人』が第170回直木賞の候補となり、一躍注目を集めた彼の新たな挑戦です。
作品の背景
『カフェーの帰り道』は、大正から昭和の時代を背景に、東京の下町にある小さなカフェで働く女給たちの個性豊かな姿を描いた短編集です。著者の独特な視点により、彼女たちの生活や悩みがリアルに描かれています。物語の舞台である「カフェー西行」は、上野の静かな場所にあり、地域の人々にとって身近な憩いの場となっています。このカフェーで、お客をもてなす女給たちの姿からは、過去の時代と現代が通じる感想が受け取れます。
ジェンダーと時代背景
本書の核となるテーマは、「女給」として働く女性たちの日常です。彼女たちは、銘仙に白いフリルのついたエプロンを身にまとい、客と会話を楽しみながら、時には悩みを抱えています。この短編集を通じて、現代の私たちも共感できるような、女性の苦悩や希望が描かれています。大正から昭和にかけてのファッションやライフスタイルも豊かに描かれており、読者は時代を超えた視点で彼女たちの生き様を見ることができるでしょう。
登場人物たち
物語には、個性的な女給たちが登場します。たとえば、竹久夢二風の化粧で客の目をひくタイ子、執筆を志すが経済的な不安に苦しむセイ、偽りを交えながらもその面倒見の良さで周囲を和ませる美登里、年上の先輩女給である園子の4人が主要なキャラクターです。彼女たちは、さまざまな葛藤を抱えながらも、それぞれの人生を見つけていく様子が心温まるエピソードとして描かれています。
書籍の特長
本書は228ページにわたり、短編集としてさまざまなストーリーが展開されます。原田ひ香氏からも絶賛の声をいただいており、その内容への期待が高まります。この作品は読みやすさと深いテーマ性の両方を兼ね備えた一冊であり、多様な読者層に楽しんでいただけること間違いなしです。
まとめ
嶋津輝の『カフェーの帰り道』は、歴史ある女給を通じて、今を生きる私たちに勇気を与える力作です。新版や新しい著者の作品に親しむきっかけとして、お手元にぜひご用意しておきたい一冊です。
本書は、2025年11月12日に発売で、価格は1,870円(税込)です。