米国EV市場の最新動向
2025年5月に発表されたJ.D. パワーの「2025年米国EV検討意向調査」から、今日のEV市場における消費者の動向と将来への期待が浮かび上がりました。多くの経済的不透明感が漂う中でも、消費者のEVに対する関心がどのように変化しているのかを見ていきましょう。
安定したEV需要の背景
調査の結果、EV購入検討者の24%がその購入意向を「非常に高い」と感じており、35%が「ある程度検討している」と応えています。この数字は昨年と同様で、EVへの関心が一定の水準に保たれていることを示しています。
たとえば、EV購入希望者は他ブランドと比較することに積極的で、平均して約2.9のブランドを検討していることが分かっています。特に、プレミアムブランドとマスマーケットブランドの双方にわたって関心を示しており、新しいブランドとの出会いの場が生まれているとも考えられます。
懸念と挑戦
ただし、EVが普及するためには克服すべき課題も多いです。特に、充電インフラの不足は依然として主要な懸念事項であり、52%の新車購入希望者がこれを理由にEV購入を躊躇しています。充電に対する不安の払拭と情報提供が、今後の普及の鍵となるでしょう。
一方で、EVの価格や維持費についての懸念は減少傾向にあり、前年比で4ポイント減の43%が購入価格に懸念を抱いています。このことは、経済的なハードルが下がりつつあることを示しています。
消費者のプロフィール
調査対象者の中でEVに対する関心が高いのは、特に25〜49歳の若年層ですが、年収が10万ドル以上に達するのはわずか17%。この世代は経済的な制約がある一方で、高齢層は余裕があるもののEVへの関心が低いという一側面があります。
地域ごとの興味の差
地域別では、中西部エリアが特にEVへの関心が薄く、ウィスコンシン州やケンタッキー州では「非常に高い」購入意向を持つ層が18%にも満たない状態です。これは寒冷地特有のEVの性能に対する懸念や、伝統的な自動車ブランドへのロイヤルティが影響していると考えられます。
今後の展望
J.D. パワーのブレント・グルーバー エグゼクティブディレクターは、「変動する市場の中でもEVは確固たるチョイスになっています。今後の普及には消費者のニーズに合った製品を提供することが必要で、より良い啓蒙活動を通じて消費者の懸念を軽減することも重要です」とコメントしています。
この調査は、今後のEV市場の動向を探るための貴重な指標です。今後、このデータをもとに、消費者のニーズに適した製品の開発やプロモーションが鍵となるでしょう。今後の動向についても注意深く見守っていく必要があります。