2025年9月に20周年を迎える馬の骨。この特別な年に向け、スタッフが企画したのは自身のベスト盤。その発案は4月にさかのぼり、そこでライブの可能性も含めて動き出したようです。しかし、具体的な会場探しは思わぬ形で進展。12月28日、忙しいミュージシャンたちが偶然スケジュールが合ったことから、SHIBUYA WWWXでの一夜限りのライブが実現しました。
チケットは瞬く間に完売し、ライブが始まる前から観客の熱気が高まっていました。オープニングでは、映画『大いなる西部』の「Main Title」が流れ、馬の骨がステージに登場。ドラマティックな始まりに、会場も歓声で満たされます。
バンドのメンバーが顔を揃え、ライトが当たる中、始まりの合図が出されると、軽快なギターリフが響きわたり、1曲目「My Stove’s On Fire」がスタート。名曲のカバーを持ち味にする馬の骨のパフォーマンスは、期待以上の出来栄えで観客を魅了しました。
続いて披露された「Fine Play」、「Someday, Somewhere, Somebody」の2曲は、意外にもベストアルバムには収録されていない楽曲。しかし、過去を振り返る中での他の楽曲との繋がりを意識することで、鑑賞する側の感情も高まります。さらに、のんから楽曲提供を受けた「Oh! Oh! Oh!」では、観客が楽しそうに振り付きで応える場面も見受けられました。これは一夜限りの特別な瞬間。
演奏が進むにつれ、各メンバーの個性が際立ち、エモーショナルなサウンドが会場全体を包むのです。「PING&PONG」や「クモと蝶」、「Chewing Gum On The Street」と続く中、曲ごとに異なる景色が広がり、観客を飽きさせません。
感情豊かなギターソロを披露する松江潤と、それを支える他のメンバーとの静かな駆け引きが見え隠れし、そのスリル感は参加者全員を圧倒しました。特に、名曲「燃え殻」の後に挿入されたMCでは、堀込泰行がメンバーの紹介を前倒しし、「やっぱり松江がかっこいいギターを弾いてくれたよね!」と、盛り上がりを見せる一幕にも笑みがこぼれました。
また、堀込にとってユーモアは重要な要素。「リハが終わった途端、アンディ・ウォーホルが登場」と冗談を交えながらのMCは、軽快なトーンで観客の心をつかみました。これが彼らの普遍性であり、ただのアーティストではなく、魅力あふれる音楽を提供する理由の一端です。
エンディングに向けてのパフォーマンスはさらに際立ち、「枯れない泉」、「最低速度を守れ!」、「Red Light, Blue Light, Yellow Light」では、シンプルな構成ですが心に響く素朴なメッセージが強調されます。そしてラストナンバー「River」では、メロディが哀愁と希望を描き出し、観客を残された余韻で包み込んでいきました。
アンコールでの盛り上がりも特筆すべきです。PAの内田直之が展開したダブ処理SE「インタールード」が、演奏された瞬間の高揚感は今でも目に浮かぶほど。
ベストアルバムの制作に際しては、ファンの期待に応える高品質なトラック選びがなされました。しかし、収録されていない楽曲たちもライブで最高のパフォーマンスで蘇り、観客の心をしっかりと掴みました。そのライブの最後に堀込が言った「またお会いしましょう、いつか」という言葉が、未来に希望を与え、またの機会を心待ちにさせる瞬間となったのです。
10月には新作『BEST OF UMA NO HONE 2005-2025』リリースされる予定です。この記念すべき年、馬の骨は新たな挑戦に満ち、自らの音楽性を新たな高みに引き上げることでしょう。今後の活動がますます楽しみです。