韓国での撮影研修
2025-10-08 09:44:30

次世代映像クリエイターを育成する韓国研修プログラム報告

日本映画撮影監督協会が韓国で実施した研修プログラム



日本映画撮影監督協会(JSC)は、文化庁が主催する「クリエイター等支援事業」の一環として、国際的に通用する映画撮影者の育成プログラムに取り組んでいます。その一環として、韓国で実施した映像制作現場の研修ツアーの成果についてお伝えします。

研修プログラムの実施内容


今回の研修プログラムは、9月16日から19日の4日間にわたり、韓国で行われました。初日は羽田を出発し、金浦空港に到着。すぐに機材レンタルショップ「SLR」を訪問し、韓国映画撮影監督協会(CGK)との合同シンポジウム「Cinematic Quantum Dialogue」が開かれました。このシンポジウムには両国の撮影監督が集まり、意見交換やディスカッションが行われました。

シンポジウムの様子


CGKの代表チュ・ギョンヨプ氏は、参加した撮影監督たちに「カメラとレンズで語る者同士、今日は思う存分意見を交わそう」と呼び掛けました。これに対し、JSCの副理事長である谷川創平氏は「作品の観点では日韓に距離はない」と返答し、両国の映像クリエイターの架け橋となることを強調しました。また、『殺人の追憶』の撮影監督であるキム・ヒョング氏は、「今こそ協力と信頼を基盤に、アジアから世界市場へ共に挑戦すべき」と発言し、参加者たちから喝采が送られました。

このディスカッションでは、韓国の労働環境や撮影監督の権利擁護についても触れられ、日本側からは若手を守るための制度の必要性が論じられました。懇親会では参加者同士の交流が深まり、国を超えた結束が生まれました。

韓国の映像制作環境を見学


研修の中では、韓国の最先端のスタジオや教育機関を訪問し、制作環境の充実度に感銘を受けました。特に、DEXTER STUDIOSでは、VFXスーパーバイザーが脚本段階から制作に関与する体制に刺激を受け、物語を共に創り出す姿勢が印象的でした。

CJ ENM Studio Centerでは、1,600㎡のスタジオやVPスタジオの巨大な規模を体感し、現場の活気を実感しました。韓国映画アカデミー(KAFA)では、国の支援がもたらす最新の教育プログラムや設備の重要性を学び、「教育と労働環境が相乗的に作用することで、世界的人材が育成される」との参加者の声も印象に残りました。釜山国際映画祭では、若い観客とOTT企業の存在感を感じ、映画祭のマーケット機能の重要性を再認識しました。

日本の現状と今後の展望


研修を通じて、韓国と日本の現場環境における差異が浮き彫りになりました。韓国では、労働時間の規制や国の補助制度が整えられ、健全な労働環境が確保されています。これによって、国際的な競争力を持った作品が生まれる土壌が形成されています。一方、日本の場合、制度面での改善が必要であり、個人の努力に依存しがちです。

この研修は、次世代の撮影監督を国際舞台へと送り出すための重要なステップであり、国際的な映像文化の交流を深める基盤となると確信しています。今後も、JSCは海外の映像団体との多様な連携を行いながら、映像クリエイターの育成を推進していく予定です。最新の活動報告は今後も随時公開していきます。


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