阪神のゼロカーボンベースボールパーク、ZEB認証を取得し持続可能な未来へ

ゼロカーボンベースボールパークが目指す持続可能性

今、スポーツ施設に求められているのは、ただ勝利をもたらすだけではなく、環境保全への配慮です。兵庫県尼崎市に建設中のゼロカーボンベースボールパークは、阪神電気鉄道と久米設計の手によって、持続可能な設計を採用し、ZEB認証を取得しました。この取り組みは、2025年3月の開業に向けた期待をさらに高めています。

ZEB認証とは

ZEB（Zero Energy Building）認証は、エネルギーの効率的利用と創出が求められる建物に与えられる評価制度です。ゼロカーボンベースボールパーク内では、特に「日鉄鋼板 SGLスタジアム尼崎」と「室内練習場・虎風荘」がそれぞれの基準を満たして認証を取得しました。

- 日鉄鋼板 SGLスタジアム尼崎は、基準一次エネルギー消費量から43%もの削減を実現し、「ZEB Oriented」の認証を受けました。これにより、先進的な照明や断熱設計がもたらす効果が立証されています。

- 一方、室内練習場・虎風荘では、基準一次エネルギー消費量から実に77%も削減を達成し、「Nearly ZEB」の認証を取得。こちらも高効率な空調システムと環境に優しい設計が評価されました。

環境への具体的な取り組み

日鉄鋼板SGLスタジアムでは、LED照明の導入や人感センサー、明るさセンサーを組み合わせることで照明によるエネルギー消費を大幅にカットしています。さらに外壁の高断熱性やLow-E複層ガラスを使用し、空調の効率も劇的に向上させています。また、雨水や井戸水を利用するエコなシステムも採用されています。

虎風荘では、コンピュータを活用した環境シミュレーションにより、最適な空調や換気の設計が行われており、これにより各設備の能力が適正化されています。さらに、700kW以上の太陽光発電パネルを設置し、リチウム蓄電池を導入することで、生成した電力の自家消費を極力高めています。

脱炭素社会への具体的な貢献

ゼロカーボンベースボールパークは、ただの球場ではありません。阪神タイガースのファーム施設として、選手たちの練習風景を観ることができるスペースや、来場者がくつろげる広場、更には周遊コースも整備され、地域に根ざした魅力的な公園に成長する予定です。

この公園では、太陽光発電だけでなく、廃棄物発電やリサイクルなどの取り組みも実施されます。環境省が選定する「脱炭素先行地域」として、地域社会と連携し、持続可能な社会の実現に貢献しています。

未来のスポーツ施設として

脱炭素社会の実現を視野に入れたゼロカーボンベースボールパークは、環境への優しさと地域の活性化を両立させるスポーツ施設として期待されています。エシカルな選択をすることが求められる今、ここにしかない魅力的なスポーツ環境が広がることでしょう。今後も阪神電気鉄道と久米設計は、このプロジェクトを通じて持続可能な未来を切り開いていくとしています。