フォーミュラEが初のBSIネットゼロ認証を取得
ABB FIAフォーミュラE世界選手権が、世界で初めてBSI(英国規格協会)の「ネットゼロ・パスウェイ」認証を獲得しました。この認証の取得は、フォーミュラEがスポーツ界における持続可能性の重要な指標となり、気候変動対策に対する信頼性を確保するための新たな世界基準を打ち立てたことを意味します。
認証取得の意義
このBSIの「ネットゼロ・パスウェイ」認証は、シーズン9(2022/23)で正式に取得され、フォーミュラEの排出削減目標が科学的な根拠に基づいて設定されていることを証明しています。この認証はカーボンフットプリントの検証と、ISOのネットゼロ指針に準じたマネジメントシステムに支えられており、国際的に厳しい基準を満たしていることを確認した結果です。
一方で、一般的なネットゼロ主張がカーボンオフセットに依存していることが多い中、BSIはカーボンフットプリントのデータや削減計画の徹底的な検証を強調しています。これにより、フォーミュラEの気候・サステナビリティ関連の活動が十分に信頼できるものであることが示されています。
持続可能な取り組み
BSIの最新基準は、温室効果ガスの削減を定量的かつ実効性のある取り組みとして評価することを重視しています。認証は明確な基準に基づいた脱炭素戦略を打ち立て、年度毎の監査を通じて進行状況を示す組織にのみ与えられます。
この取り組みにより、フォーミュラEは次の長期目標として2040年までに、遅くとも2050年までには信頼性のあるネットゼロ排出を達成することを掲げています。具体的には、2030年までにスコープ1および2の排出量を50%、スコープ3を27.5%削減することが目標です。これは、2018年から2019年のシーズン5を基準年としています。
コメントから見える意義
フォーミュラEのサステナビリティ担当責任者であるジュリア・パレ氏は、スポーツと持続可能性が両立できることを示すことがフォーミュラEの使命であると語っています。また、今回の認証取得によって気候変動への取り組みが科学的に裏付けられたことは、組織にとっても誇りであると強調しています。
BSI EMEAアシュアランスサービス担当のシニア・バイスプレジデント、マット・ペイジ氏も、フォーミュラEの認証取得が業界の新たなベンチマークとなることを期待しています。持続可能性に基づいた活動は、目標としてだけでなく、変革を推進するための「システム」となるべきだと指摘しています。
フォーミュラEの未来
フォーミュラEは、単なるモータースポーツの枠を超え、持続可能な未来を形成するための重要なプラットフォームとして位置付けられています。サーキットの内外でのエコフレンドリーな取り組みによって、ファンやサポーターにその影響を及ぼし、持続可能な進歩を加速させる役割を果たしていくでしょう。
この世界初の認証取得は、フォーミュラEが環境に配慮したエンターテインメントを提供するだけでなく、未来のスポーツのあり方を示す先駆者となることを意味します。本格的な脱炭素化への道筋を進むフォーミュラEの動きに、今後も注目が集まります。