19歳監督ナカダリオの自伝的イマーシブ映画『Nox』が公式選出、ヴェネチア国際映画祭での新たな挑戦
19歳という若さで、多くの受賞歴を持つ監督ナカダリオが手がけた自伝的イマーシブ映画『Nox』が、第83回ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」コンペティション部門に正式に選出されました。このニュースは多くの人々にインパクトを与え、彼女の独自の視点から描かれる作品に対する期待が高まっています。
『Nox』の概要
『Nox』はラテン語で「夜」を意味し、複雑性PTSDや解離性障害を持つ監督自身の経験から生まれた作品です。物語は、「崩壊」「断片化」「再統合」という三つのフェーズに分かれ、体験者は13のシーンと5種類のインタラクションを通して、自身の体験を追体験していくのです。
この映画は、コントローラーを使用せず、Meta Quest 3のハンドトラッキング技術を活用しています。観客は手を使って素手で作品に参加し、心の葛藤や不安定な感情を体感することが可能です。約20分の間、光や音、断片化した意識によって作り上げられた空間を進むことで、自らの内面に向き合う体験が待っています。
精神疾患を描く新しい形
ナカダリオの作品は、精神的な困難を外部から観察するのではなく、当事者自身の経験をもとに制作されています。特に「Nothing About Us Without Us」という理念を重視し、解離したアイデンティティやトラウマに対する新たな理解を提唱しています。これまで、映画やドラマではこれらが恐怖や暴力の象徴として描かれることが多かったのですが、ナカダリオはそれを排除すべき存在ではなく、彼女自身を守ってきた存在として捉えています。
『Nox』は観る人に衝撃的な疑似体験を提供するだけではなく、新しい理解と対話の場を提供することを目指しています。観客は診断名や症状を超えたナカダリオの個人的な物語に触れることで、共感を覚えると同時に、先入観を打破する体験を実感することができるでしょう。
アートとテクノロジーの融合
本作品では、Unity Engineや手の動きに反応するハンドトラッキング技術を用い、没入型体験をさらに深化させています。3D Gaussian Splattingや流体演算、立体音響などを駆使して、視覚的な美しさだけでなく、聴覚的な刺激も取り入れ、観客がまるで作品の一部になったかのような感覚を味わえることでしょう。このように、ナカダリオはテクノロジーをただの道具としてではなく、彼女の表現を支える重要な要素として取り入れているのです。
未来へのクラウドファンディング
ナカダリオは、ヴェネチア国際映画祭への渡航および制作に必要な資金を調達するためのクラウドファンディングも開始する計画を進めています。この資金があれば、彼女の芸術が国際舞台でどのように受け入れられるかを実現する手助けとなります。
監督の声
ナカダリオ自身も、レッドカーペットを歩くことへの感謝を述べつつ、自身の経験を基にした作品制作の意義を語っています。彼女の言葉は、視覚だけでなく心にも響くものです。彼女は、PTSDを経験した人々の視点を通じて、恐怖や偏見を超えた理解に向けて一歩を踏み出すことが大切だと信じています。
『Nox』は、まだ見ぬ可能性に満ちた作品です。ナカダリオが描く思い出と感情の旅に、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。