ポストコロナにおける運動・スポーツ実施率の低下とその影響
新型コロナウイルス感染症の影響は、私たちの生活全般に多大な影響を与えました。その中でも特に「運動・スポーツ」の実施状況は、ポストコロナ社会における重要なテーマとして注目されています。笹川スポーツ財団(SSF)が2024年に発表した「スポーツライフ・データ2024」では、国民の運動実施率が依然としてコロナ禍前の水準に回復していないことが明らかとなりました。
調査結果の概観
最新の調査によると、年1回以上の運動・スポーツ実施率は69.8%と、2006年以来初めての60%台に落ち込んでいます。これは、過去1年間に全く運動を行わなかった人の割合が30.2%に達し、実に3割の人々がスポーツから距離を置いているという深刻な結果を示しています。
特に注意すべきは、運動・スポーツの実施形態に変化が見られる点です。コロナ禍を経て、多くの人が職場や学校に戻る中で、運動の優先度が下がり、身体を動かす余裕が少なくなっている可能性があります。多忙な日常生活の中で、運動をすることが一つの犠牲になっているのかもしれません。
観戦(みる)スポーツの変化
また、スポーツ観戦に関しても興味深いデータが得られました。直接観戦率は26.2%と、2022年の19.3%から着実に回復していますが、依然として2018年の31.8%には及びません。一方、インターネット経由での観戦率は24.2%に達し、コロナ前の11.5%からの急成長が見られます。これは、遠方にいても楽しめるオンライン観戦の普及によるものと考えられます。
身体活動量の低下
調査の結果、日常生活における身体活動量も減少しており、全体の総身体活動量は30.6メッツ・時/週となりました。これは2022年から約4メッツも減少したことを示しています。さらに、活動の分野別に見てみると、仕事の割合は56.6%、移動が22.9%、余暇が20.5%という結果が出ています。この中で、仕事の割合が減り移動が増加していることは、テレワークなどの影響を反映している可能性があります。
ボランティア活動について
加えて、スポーツボランティアの実施率も5.4%と、2022年の4.2%から増加していますが、コロナ前の水準にはまだ到達していません。コミュニティでのスポーツ支援やボランティアの役割は非常に重要ですが、その参加が広がっていない現実は心配です。
今後の課題
今回の調査を通じて、ポストコロナ社会における運動・スポーツの実施状況が依然として厳しいことが確認されました。これからの課題は、いかにして短い時間の中で運動の機会を見出し、観戦を楽しむ環境を整え、ボランティア活動にも積極的に参加できるような仕組みを整えるかです。コロナ禍の影響が色濃く残る中で、私たち自身が意識を持ち、行動を変えていく必要があります。
スポーツは心身の健康を保つために欠かせない要素です。私たち一人ひとりがこの現実を直視し、ポジティブな変化を生み出す力を持っていることを忘れずにいたいものです。このアンケート結果を活用して、より健やかなスポーツライフを実現していくための一歩を踏み出しましょう。