根本陸夫の知られざる実像を描いた『暗躍の球史』
2024年7月、集英社から出版される予定の高橋安幸著『暗躍の球史根本陸夫が動いた時代』は、第35回ミズノスポーツライター賞で優秀賞を受賞しました。この作品は、プロ野球界で“球界最後のフィクサー”と称される根本陸夫を取り上げ、その実像を深く掘り下げています。根本は広島、西武、そしてダイエー(現ソフトバンク)での監督や球団フロントでの活動を通じ、プロ野球の再構築を手掛けました。
強烈な影響力を持った根本陸夫
根本陸夫は、特に西武ライオンズを名実ともに強豪へと変える役割を果たしました。また、福岡ダイエーホークスでは後任監督として“世界の王”こと王貞治を迎えるという大胆な選択をしたことでも知られています。その手腕や経歴の背景には、彼が持つ膨大な人脈と情報網が存在します。
ミズノスポーツライター賞受賞の意義
ミズノスポーツライター賞は、スポーツ報道や評論、ノンフィクション作品を対象とし、その優秀な作品と著者を顕彰する目的で1970年代から続いている権威ある賞です。今年の受賞は、高橋氏の執筆活動に対する高い評価を意味しており、今後のスポーツライターたちへの励みともなるでしょう。
物語の核心に迫る
『暗躍の球史』は、読者に根本陸夫の真の姿を知ってもらうべく、彼の成功や失敗を多面的に描写しています。著者は、発掘された新たな証言を元に、根本の統治下でのドラフトやトレード、ときにルールのグレーゾーンまでも駆使した施策について詳述しています。読者は、彼がただのフィクサーでなく、その実像の奥に潜む複雑な側面を理解することになるでしょう。
球界の裏側を探る旅
根本陸夫に関する証言は決して一面的ではありません。彼の支持者たちは“根本マジック”と称え、逆に批判者はその手法を危ういと指摘しています。野球界の関係者である浦田直治や黒田正宏の新証言、さらには栗山英樹や松沼博久、愛甲猛などの諸先輩たちが語る彼との関係から、成功と失敗、栄光と挫折、その両方が浮き彫りにされていきます。
著者について
高橋安幸は、1965年新潟県生まれのベースボールライターであり、様々な媒体で昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマにした記事を執筆しています。彼の著作には、『根本陸夫伝プロ野球のすべてを知っていた男』や『いまこそ知りたいプロ野球の真実』などがあり、スポーツライターとしての経験は豊富です。彼の視点からは、野球というスポーツの本質やその裏側が明らかにされ、常に新たな発見を与えてくれることでしょう。
このノンフィクション作品を通じて、根本陸夫という人物がどのように日本のプロ野球に影響を与え、そしてその影響が今もなお続いているのかを知ることができる貴重な機会です。記事自体は、スポーツファンだけでなく、社会全体に深い洞察を与えることでしょう。