運動スキル習得のカギは「初期選択」にあり!
運動能力の向上のために欠かせないのがスキルの習得ですが、その過程で「最初の一歩」がいかに上達に影響するかを探る新たな研究が発表されました。この研究は、龍谷大学経済学部の鈴木啓央講師、大阪体育大学の平川武仁教授、そして新潟医療福祉大学の山本裕二教授という、異なる専門分野を持つ研究者たちによる共同研究です。彼らはキャスターボード(特別な構造のスケートボード)を通して、運動学習の初期段階における方略の選択が技術習得に与える影響を3次元解析で詳しく調査しました。
研究の背景と目的
スポーツ指導の現場では、同じトレーニングを行っているにも関わらず、選手によって上達のスピードが異なることが珍しくありません。この差異はあらゆる指導者が直面する課題です。本研究チームは、なぜ個々の選手の運動技能に差が生じるのかに注目しました。これまでの研究は主にジャグリングや書字など、比較的限られた動作に焦点を当てていましたが、全身運動における学習プロセスはあまり明らかにされていませんでした。そこでキャスターボードを用いた実験を通じて、全身を使う運動の学習過程を詳しく分析しました。
研究の成果
キャスターボードは、二枚の板それぞれに車輪がついた特殊なスケートボードです。この乗り物を初めて使う大学生7名が対象となり、彼らの動作を詳細に計測しました。その結果、以下の2つの重要な知見が得られました。
1.
初期の動き方が上達の速度に影響
学習者は大きく「勢い型」と「捻転型」に分かれ、特に「捻転型」の方が課題達成が早いことが確認されました。つまり、最初に選んだ動き方がその後の上達に直結するということが明らかになりました。
2.
試行錯誤の多さが成功のカギ
また、試行ごとの動作変動性が高い学習者ほど上達が早いことが判明しました。一般的に行われている「反復練習」よりも「さまざまな動きを試している」ことが成果に繋がるという新しい視点が示されたのです。
具体的には、課題達成に要した試行回数は最小8回から最大135回までと、大きな差がありました。この結果からも、初期の動き方の選択が後の練習に大きく影響し、学習方略においても個人差があることが確認されました。
研究の意義と今後の展望
この研究は、全身を使う運動の学習過程を分析した点で新規性があります。特に「学習初期の方略選択」と「動作の変動性」が習得速度に強く影響することを示すことで、スポーツ教育や学校での体育授業、さらにはリハビリテーションの分野でも新たな知見を提供する可能性があります。この研究成果は、より効果的な運動指導方法の開発に貢献することが期待されています。
発表と問い合わせ
この研究は、国際科学ジャーナル「Frontiers in Psychology: Movement Science」に掲載されています。興味のある方は、ぜひ論文をチェックしてみてください。問い合わせ先は以下の通りです。
- - 龍谷大学経済学部・鈴木啓央講師: hsuzuki@econ.ryukoku.ac.jp
- - 新潟医療福祉大学入試広報部広報課: kouhou@nuhw.ac.jp
- - 大阪体育大学広報室: koho.users@ouhs.jp
この研究が運動技能の習得に革命をもたらすことを期待したいですね。