横浜の映画の歴史を振り返る「NFAJコレクション2025春」
国立映画アーカイブが贈る上映企画「NFAJコレクション2025春」が、2025年3月7日から23日までの期間、横浜と映画をテーマにした特集をお届けします。
上映の背景
横浜は日本の映画産業にとって重要な地点です。江戸幕府の定めにより開港地となったこの都市は、吉澤商店による映画興行が行われた歴史を持ち、日本初の洋画封切館「オデヲン座」が開館した場所でもあります。横浜は、無声映画期から数多くの映画が撮影されたロケ地としての役割を果たしてきました。「NFAJコレクション2025春」では、横浜の映画の光と影を10作品(9プログラム)を通じて探ります。
横浜の無声映画
特集の見どころの一つは、大正活映の前身となった東洋フィルムが制作した無声映画です。1918年に制作された『成金[SANJI GOTO-THE STORY OF A JAPANESE ENOCH ARDEN]』や、名監督・清水宏による『港の日本娘』(1933)は、横浜のモダンな風景を描き出し、その歴史の一端を垣間見ることができます。また、3月22日にはピアノ伴奏による特別上映も予定されており、無声映画ならではの魅力を感じることができます。
映画と横浜の生活
この特集で映し出される横浜は、「国際都市」という表現では収まりきらない多層的な歴史を持っています。中平康による『月曜日のユカ』(1964)や、成瀬巳喜男の『ひき逃げ』(1966)など、戦後の横浜の変化を映し出す作品群が、映画を通して横浜の生活史を浮き彫りにします。鈴木清順の『密航0ライン』(1960)は、敗戦後の横浜の風景を捉え、横浜の人々の暮らしや文化の変容を見つめます。
横浜と音楽文化
横浜では、戦後、独自の音楽文化も育まれました。工藤栄一監督の『ヨコハマBJブルース』(1981)は、ブルースシンガーとしても知られる松田優作による作品で、横浜への想いを描いています。また、ザ・ゴールデン・カップスのドキュメンタリー映画『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』(2004)は、本牧のライブハウスで結成されたバンドの歴史を追い、横浜の音楽文化を深く掘り下げます。
上映作品一覧
1. 『成金[SANJI GOTO-THE STORY OF A JAPANESE ENOCH ARDEN]』(1918)
2. 『港の日本娘』(1933)
3. 『密航0ライン』(1960)
4. 『月曜日のユカ』(1964)
5. 『ひき逃げ』(1966)
6. 『虹をわたって』(1972)
7. 『野良犬』(1973)
8. 『ヨコハマBJブルース』(1981)
9. 『喜劇 家族同盟』(1983)
10. 『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』(2004)
うち、いくつかの作品はニュープリントでの上映を予定しています。特集を通じて、横浜と映画の歴史的な関係を再発見し、多様な視点からこの都市の魅力を楽しんでいただけることでしょう。
開催概要
企画名: NFAJコレクション 2025 春——横浜と映画
会期: 2025年3月7日(金)-3月23日(日)
場所: 国立映画アーカイブ小ホール[B1階]
公式サイト:
NFAJ
映画と横浜の深い関係を知ることができるこの貴重な機会をお見逃しなく!