アラブ映画特集:運動と記憶を尋ねるドキュメンタリー
東京外国語大学にて、アラブ映画特集が行われます。今回のテーマは「運動と紛争の記憶」。上映作品は、アラブ地域の女性の歴史とレバノン内戦の記憶を探る2本のドキュメンタリーです。特に重要なのは、上映後に行われる専門家によるトークセッションで、映像を通じて得られる知識に加え、それに関連する社会背景についても深い理解が得られる機会となります。
第1回:『フェミニスト・インシャッラー』
最初の上映作品『フェミニスト・インシャッラー:アラブ・フェミニズムの歴史を語る』は、アラブ地域におけるフェミニズム運動の100年以上の歴史を描いています。
上映概要
- - 日時:2025年7月14日(月)18:00開映
- - 会場:東京外国語大学 アゴラ・グローバル プロメテウス・ホール
- - 上映時間:52分
このドキュメンタリーでは、20世紀初頭から現在にかけてのアラブの女性活動家たちの奮闘が取り上げられ、ナショナリズムや植民地主義から受けた影響に焦点を当てています。未公開アーカイブや活動家のインタビューが織り込まれることで、アラブ・フェミニズムの複雑な歴史が浮かび上がります。
上映後には、東京外国語大学の後藤絵美准教授を司会に、パネルディスカッションが行われる予定です。多彩な専門家たちが登壇し、アラブ地域や現代の女性運動をさまざまな視点で掘り下げます。
第2回:『土地と海』
続く上映は『土地と海』です。この作品は、レバノン内戦(1975-1990)から50年を迎えた今もなお、残る悲しみと記憶に光を当てます。
上映概要
- - 日時:2025年7月19日(土)14:00開映
- - 会場:東京外国語大学 アゴラ・グローバル プロメテウス・ホール
- - 上映時間:73分
このドキュメンタリーでは、家族が愛する人の遺骨の帰還を待つ姿を通じて内戦の影響を語ります。映像は、証言者の顔を映さずに声と風景を重ねる手法が取られており、内戦の記憶と向き合う重要性を訴えています。ナレーションには、作家イリヤース・フーリー氏の言葉が使われ、観客に対して暴力と死の記憶を呼び覚まします。
上映後には、映画監督のダニエル・ルーゴ氏のメッセージが届けられ、交流の場が提供されます。映画の視点はレバノンに限らず、他の内戦後の地域にも共通する問題を提起します。これにより、観客は現代社会に生きる私たち一人ひとりが向き合わなければならない記憶と正義の課題を再考する機会となるでしょう。
アラブ映画特集の意義
今回の特集により、映像を楽しむだけでなく、それを通じて戦争や運動の複雑な歴史を学び、対話を促す機会がもたらされます。このイベントは、歴史的な出来事に対して現代の私たちがどう向き合うかを考える貴重な場となるでしょう。
興味のある方は、ぜひ事前登録をして足を運んでみてください。入場は無料ですが、人数制限があるためお早めにどうぞ。