ヴァレオが進化させたEV向け技術
ヴァレオは、コンパクトな5方向冷媒バルブを活用した次世代電気自動車(EV)向けヒートポンプ・システムが、CES 2026イノベーション・アワードを受賞したことを発表しました。この受賞は、ヴァレオがモビリティ向けサーマルマネジメントのリーダーとしての地位をさらに強固にすることにつながります。
自動車の電動化における新たなトレンド
ヴァレオの今回の受賞は「車両技術&先進モビリティ」カテゴリーにおいて認められたもので、特にEVの効率と持続可能性を向上させることに寄与する技術が評価されました。ヴァレオ・パワー・ディビジョンのCEOであるグザヴィエ・デュポン氏は、「このイノベーションが電動モビリティの効率を高めるというヴァレオの使命を体現している」と語っています。
EVにおけるサーマルマネジメント
EVにおけるサーマルマネジメントは、バッテリーの性能と乗員の快適性を両立させるための最大の課題の一つです。最適な温度を保つことは性能を維持するために不可欠ですが、空調の必要性も考慮しなければなりません。これを解決するために、ヴァレオはスマート・ヒートポンプ・モジュールに業界初の5方向冷媒バルブを統合しました。
この新しいバルブは、画期的な回転プレート機構によって流路を制御し、従来の3つのソレノイドバルブと1つのチェックバルブを一つのユニットに集約。この設計により、エネルギー損失を最小限に抑えつつ、加熱モードと冷却モードを素早く切り替えることが可能です。これにより、信頼性も高まり、システム全体の効率が向上します。
未来を見据えた設計
5方向冷媒バルブの設計は、ヴァレオが長年培ってきたサーマルシステムについての専門知識を活かしています。耐久性と信頼性を確保するため、高性能ポリマーシールなどの先進的な材料を採用しており、極端な温度条件下でも優れた性能を発揮します。さらに、このテクノロジーにより、静音性も実現され、快適な運転環境が提供されます。
システムは2026年9月からの量産を予定しており、顧客からの要望に合わせた受注生産も可能です。
CES 2026イノベーション・アワードの概要
CESイノベーション・アワードは、コンシューマー・テクノロジー協会によって主催される世界的に権威あるコンペティションです。毎年、様々な技術分野における卓越したデザインとエンジニアリングが評価され、受賞製品には「Best of Innovation」が贈られます。業界の専門家パネルが厳正に審査を行い、優れた製品が選出されます。
結論
ヴァレオの新しいヒートポンプ・システムは、これからの電動モビリティの未来を築く重要なステップです。サステナビリティと効率を両立させたこの技術が、EVの進化をどのように牽引していくのか、今後の動向が注目されます。