映画館市場2024年度の動向
映画館市場が2024年度に2775億円に縮小し、前年度比で3.3%の減少という結果が報告されました。この傾向は、4年ぶりの市場縮小となり、その背景にはメガヒット作品の不足や動画配信サービスの拡大がございます。
概況と動向
株式会社帝国データバンクの調査によると、コロナ禍の影響で苦境に立たされた映画館市場は、2020年度には1785億円と大幅に落ち込みましたが、その後回復を見せていました。しかし、2024年度には再び縮小が確認され、特に興行収入を牽引するメガヒットが不足していることが影響しています。
邦画では『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』や『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』などが話題を呼びましたが、興行収入400億円を超える作品が少なく、洋画の配給本数も減少しています。特にハリウッド映画では、脚本家や俳優のストライキが影響し、映画館の集客に苦戦を強いられているのが現状です。
さらに、NetflixやHulu、Amazonプライムビデオなどの動画配信サービスが普及し、家庭で映画を楽しむことが一般的になったため、映画館への来場が減少しているという社会的な変化も大きな要因です。このような中、映画館の運営は非常に厳しい状況にあります。
業績の実態
映画館業績に目を向けると、2024年度の増収企業の割合は26.5%に減少し、44.8%の企業が赤字に陥っているという厳しい結果が出ています。特に注目すべきは、映画館の運営コストが全体的に増加していることです。人員確保が困難になり、給与引き上げをせざるを得なくなったことや、電気代、フードサービスの仕入れ価格が上昇しているため、多くの映画館が料金を値上げしたり、新たな収益源を模索するなどの対応が求められています。
2025年度の展望
しかし、2025年度に見ると、状況は若干の明るさを見せるかもしれません。アニメ映画『劇場版 鬼滅の刃 無限城編』や実写版『国宝』が注目を浴び、興行収入の好調さが期待されています。これにより映画館市場は2800億円程度に微増する見込みです。
とはいえ、洋画の復活には時間がかかると予測されていますし、動画配信サービスの影響も根強く残るでしょう。市場全体の競争環境は依然として厳しいものとなっているため、映画館での「リアル」体験を求める観客をどう取り込むかが重要な課題になりそうです。今後も映画館業界の動向には注視していく必要があります。
まとめ
2024年度は映画館市場が縮小しましたが、2025年度には注目作の登場が期待されています。観客の映画館への回帰が実現するか、今後の流れを見守っていきたいところです。