デジタル映像作家ROSTOを偲ぶ特集上映『存在証明』が開催
2019年にその短い生涯を閉じたスペインの映像作家ROSTO。彼の独特なビジュアルスタイルと深遠なテーマは、今なお多くのアーティストたちに影響を与えています。この夏、渋谷のシアター・イメージフォーラムにて、ROSTOを追悼する特集上映『存在証明』がスタートします。8月16日(土)からの上映では、ROSTOの遺作を含む貴重な3作品が一堂に集まります。
上映される作品は、まずROSTOの死後に編纂された短編アニメーション『四つの悪夢』。この作品は彼が約15年の時間を費やして創り上げた短編4部作が再編集されたもので、彼の音楽映画としての側面が存分に感じられます。そして、ROSTOの創作人生を追った短編ドキュメンタリー『すべてが変わったようで、何も変わっちゃいない』では、彼の魅力あふれる人生と活動の一端を知ることができます。最後に、パペットとCGを駆使したミュージカルアニメーション『ニクスの怪物』は、ほのぼのとした村の怪物との戦いを描く幻想的な作品で、音楽は彼自身が手がけ、豪華メトロポール・オーケストラが演奏しています。
企画意図と上映の背景
この特集上映は、日本でROSTOの作品をまとめて紹介する初めての機会とされています。監督である末永賢は、ROSTOのダークで想像力豊かな映像に深く共鳴し、12編の縦型ショート・オマージュ映像を創作しました。これらはそれぞれのテーマに因んだ詩的なメッセージが盛り込まれ、ROSTOのビジュアルスタイルを引き立てます。また、彼の影響力や過去の作品に新たな光を当てる意図があります。
上映期間中は特設サイトもオープンし、作品に関する詳細や映像も楽しめるようになっています。観客は、彼がどうやって音楽と映像の境界を曖昧にし、彼のユニークなスタイルで表現していたかに触れることができます。
ROSTOの経歴と作品世界
ROSTOはオランダ出身の映像作家であり、カンヌ国際映画祭でも数々の短編作品が受賞するなど、その業績は高く評価されています。1990年代からは自らの複合メディアプロジェクト『Mind My Gap』を展開し、その中で音楽と映像を融合させる革新的な試みが行われてきました。ROSTOの作品は常に深い思索や独特な視点が込められ、多くのファンを魅了しています。
終わりに
ROSTOの映像世界に浸ることで、まるで彼の夢の中にいるかのような体験ができるでしょう。彼の創作した映像詩を通じて、亡き天才の意志を感じ、あの世とこの世の境界を越えた彼の声を聞くことができる貴重な機会です。
ぜひ、特集上映『存在証明』へ足を運んで、その深遠な世界を体感してください。