日本映画撮影監督協会が挑む新たな国際展開
日本映画撮影監督協会(JSC)は、文化庁の「クリエイター等支援事業」の一環として、海外で初めての試みとなる撮影監督マスタークラスをタイで開催しました。このプログラムは、国際的な舞台で活躍する日本の撮影監督を育成し、映画業界の未来を見据えた重要な一歩となるものです。
マスタークラスの概要
このプログラムは、単に講義を聴くだけの形式ではなく、参加者が実際に手を動かすことによって学ぶ、没入型の実践的な内容となっています。中級から上級の撮影監督が対象となり、照明技術、カメラ技術、カラーグレーディングといった専門的なスキルを肝心な実演を交えて教えます。
実際の制作プロセスについては、脚本の分解からショット設計、照明、レンズ選択、絵コンテ、そしてセット調整にまで及び、バラエティに富んだ経験を提供します。参加者は、撮影監督、監督、俳優、そしてクルーが一体となって物語を映像化する過程を体験しました。
特別講師の紹介
このマスタークラスの特別講師は、アメリカの著名な撮影監督であるローレンス・シャー(Lawrence Sher, ASC)です。『ジョーカー』でアカデミー賞とBAFTA賞にノミネートされ、幅広いジャンルを手がけてきた実績を持つ彼は、光と色彩を活かした映像表現で多くのクリエイターに影響を与え続けています。
プログラムスケジュール
このマスタークラスは、3日間にわたって開催され、各日ごとに異なるテーマが設けられています。
- 午前:監督と撮影監督によるセッションで脚本の分解を実施。
- 午後:Sony Rialtoシステムを用いたレンズテストと肌色描写比較デモ。
- 短いシーンを3つに分けて撮影し、その後にQ&Aセッションが行われます。
- LUTワークフローとカラーコレクションに焦点を当て、特に「リニア」のプロジェクトにおける手法を探ります。
JSCメンバーの参加と交流
JSCのメンバーも運営に携わり、オペレーターとして参加しました。これは、タイで活躍する若手ディレクターや、グローバルな作品を制作するプロデューサーと交流を深める場としても機能しました。また、日本とタイの映画人が連携して、次世代に求められる「グローバル視点での実践力」を育てる機会を生み出しました。
整理と今後の展望
JSCはこのプログラムを契機に、国際的な舞台で活躍する撮影監督の育成にさらに力を注ぐ予定です。活動の最新情報は、随時お伝えしていくとともに、これからのプロジェクトにも期待が寄せられます。
主催は、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会、及び日本映画撮影監督協会です。