90年代ラブコメ映画のBlu-ray＆DVD化を祝うトークイベントの舞台裏

90年代の人気ラブコメ映画、特に『スキ！』『香港パラダイス』『山田ババアに花束を』『咬みつきたい』のBlu-rayとDVDが、2023年9月17日（水）に初めて発売されることを記念して、神保町シアターで特別上映「東宝90年代ラブコメ★パラダイス」が開催されています。このイベントは、90年代の作品がどのようにして今に受け継がれているのかを振り返る素晴らしい機会です。

上映初日の9月30日（火）には、島崎和歌子さんと渡邊孝好監督がトークショーを行い、35年前の作品がもたらすさまざまな思い出や感慨に浸る時間を提供しました。

35年前の自分に会える奇跡

トークの冒頭、島崎さんは当時のポスターを指しながら「35年前の私、今は52歳。今日はみなさんと共にこの思い出を楽しむことができるのが嬉しいです」と笑顔で語りました。その言葉には、感謝の気持ちが込められていました。実は、島崎さんは過去に撮影した作品を手元に残すことができる幸運を感じており、VHSを大切に保管していたものの、再生できなくなってしまったと語ります。

一方、監督も、「昨年、90年代“未DVD化特集”で『スキ！』が上映された際、自身の作品がBlu-rayとして世に出ることを願い、東宝にその希望を伝えていた」と当時の経緯を説明。島崎さんとの再会がその後押しになったようです。このような背景を知ることで、作品の再刊行がいかに待ち望まれていたかがわかります。

オーディションの裏話

さらにトークは進み、オーディションのエピソードも披露されました。渡邊監督が初めて島崎さんと対面したのは、正式なオーディションではなく、製作会社の会議室での「面接」的なものでした。島崎さんは「あの時私に決まっていたんですか？」と尋ね、監督は「いくつかの候補の中で、あなたとの相性を確認するために会って決めた」と答えました。このような経緯もまた、ファンにとっては新たな発見となるでしょう。

映画制作のリアル

話題は、撮影の現場に移り、島崎さんは当時の状況を振り返ります。彼女は17歳で、映画やドラマの経験がほとんどないため、指示された通りに演技をすることが求められましたが、「台本通りに話すな」と怒られることも多かったと笑いながら語ります。このように、監督はリアリティを重視した演出をしていたそうです。

また、当時の撮影秘話として、渋谷センター街でのゲリラ撮影のエピソードも語られました。監督は、生でのパフォーマンス感や生きた役者の表現を求めていたため、人々の目の前での撮影は通常のロケーション撮影と異なるチャレンジがあったことが伺えました。島崎さんによると、「通行人とカメラの視線が合ってしまうこともあった」との話も印象的でした。

終盤のクライマックス

映画の撮影中、特に印象に残ったシーンについても言及されました。それは終盤のマンション玄関での感情的なシーンで、島崎さんは涙が出ず無理に泣こうとした際に監督に注意を受けたエピソードです。撮影後に驚いたことは、自分が思い描いた以上のリアルがフィルムに収められていたことでした。監督は、「キャラクターの内面を引き出すことが重要だった」と振り返ります。これに対し、島崎さんは「無知だったからこそ、演技できたのかもしれません」としみじみと語りました。

共演者とのエピソード

また、圧倒的な存在感を持つ共演者の大江千里さんについても、島崎さんは「彼は非常に良い方で、現場でも精神的にサポートしてくれました」と感謝の言葉を述べ、自分が一人暮らしを始めた際に物件探しまで手伝ってくれたエピソードを披露しました。

Blu-ray＆DVDの見どころ

監督は、Blu-ray＆DVDならではの見どころとして、美大生になった高校生の再会シーンに注目するよう観客に呼びかけました。二年後の彼らの様子を描くシーンでは、大人になった役柄の表情が見え、リアリティを実感できます。島崎さんも、家での視聴をお勧めし、細部にわたって楽しむことの意義を強調しました。

まとめ

最後に、渡邊監督は観客に「ぜひ手に取ってもう一度ご覧いただきたい」とメッセージを送り、島崎さんも「35年の時を経て再び作品に出会える奇跡に感謝しています。この空気感を自宅でも楽しんでください」と締めくくりました。これにより、90年代ラブコメの魅力が再び輝きを放つことになるでしょう。

さらに詳細な商品情報は、東宝の公式サイトにて確認できます。