稲泉連が描く、1964年東京パラリンピックの物語
2023年3月3日、稲泉連氏の新書『パラリンピックと日本人アナザー1964』が第35回ミズノスポーツライター賞の最優秀賞に輝きました。この作品は、日本における障害者スポーツの基盤を築いた1964年の東京パラリンピックと、それに関わった人々の物語を描いています。
1964年のパラリンピックと社会の変化
1964年、東京で行われたパラリンピックは、当時の日本社会において障害者がどのように扱われていたのかを考えさせる重要な機会でした。この大会には、傷痍軍人や療養所の患者が出場し、彼らは社会的な自立への一歩を踏み出しました。著者の稲泉氏は、当時の選手たちにインタビューし、彼らがいかに人前に出ることに抵抗があったかを訴えかけています。
現代において、この大会の意義はどのように変わったのでしょうか。2021年の東京パラリンピックや2024年のパリパラリンピックを迎える今、社会はどのように変化し、何が未だに変わらないのか、その問いを本書は私たちに投げかけます。
本書の内容と背景
本書は、2019年に発表された『アナザー1964パラリンピック序章』の続編で、著者が新たに取材を行い、日本の「スポーツ用義足」の第一人者である臼井二美男さんのインタビューを加えた改訂版として2024年8月に刊行予定です。この新書には、パラリンピックの背後にある人々の努力や、特に「日本の障害者スポーツの父」中村裕医師や初期のボランティアたちの献身的な取り組みについても触れられています。
賞の意義
ミズノスポーツライター賞は、公益財団法人ミズノスポーツ振興財団が設立したもので、スポーツに関する優れた報道や評論を顕彰するものです。2024年度で35回目を迎えるこの賞は、スポーツライターたちの活躍を支援することを目的としています。表彰式は4月22日に行われ、稲泉氏の功績が改めて評価される場となります。
著者紹介
稲泉連氏は1979年に東京都で生まれ、早稲田大学文学部を卒業しました。彼は非フィクションの作家として多くの受賞歴を持ち、特に社会問題に深い関心を持ち続けています。主な著作には『復興の書店』や『日本人宇宙飛行士』などがあり、その作品は広く読まれています。
結びに
『パラリンピックと日本人アナザー1964』は単なる歴史的記録に留まらず、我々が抱える現代社会の課題に光を当てる重要な作品です。障害者スポーツの歴史を知ることで、未来を考えるきっかけになることでしょう。ぜひ手に取ってみてください。