舞台『チェーホフ』
2025-11-06 19:36:56

笑いの中に人間の本質を描く、舞台『チェーホフを待ちながら』

笑いの中に人間の本質を描く、舞台『チェーホフを待ちながら』



まつもと市民芸術館プロデュースによる舞台『チェーホフを待ちながら』が、2025年11月6日よりまつもと市民芸術館 小ホールで開幕します。この作品は、ロシアの劇作家アントン・チェーホフが愛した一幕喜劇“ヴォードビル”を基に、劇団「MONO」の土田英生によって大胆に潤色されたものです。

初日前日のゲネプロでは、物語の根幹である人々の待つ様子が描かれた舞台が早くも会場を笑いに包みました。この作品は、個々のキャラクターの抱えるもどかしさやユーモアを掘り下げ、チェーホフ特有の“何も起こらない”状況さえ、魅力的な会話劇として昇華させています。

舞台が始まると、広場に集まった5人の男女が誰かを待っています。物語の序盤から不条理な会話が繰り広げられ、観客は思わず笑いをこらえるのが難しくなります。緊張感が漂う中、現れた男が登場することで物語は急展開。彼の名は「ゴドー」。しかし、5人の本当の待ち人である「アントン・チェーホフ」ではないことが分かります。ゴドーは「チェーホフになれるよう努力する」と宣言し、5人はチェーホフの作品について語り合い始めます。

本作では『熊』『煙草の害について』『結婚申込』『余儀なく悲劇役者』など、チェーホフの初期の一幕喜劇が巧みに組み込まれていますが、作品の舞台設定や内容は現代的で親しみやすいものに変換されています。例えば、『結婚申込』では、伝統的な所有権に関する口論が「隣家との境界線の柿の木はどちらのものか」という現代的なテーマに変わっており、これまでにない新鮮さを感じさせます。

また、山内圭哉の一人芝居「煙草の害について」では、恐妻家が講演を始めるも、いつしか妻への不満に話が逸れていく様子が圧巻でした。彼の演技力の高さが際立ち、笑いを誘います。さらに、千葉雅子と武居卓による『熊』では、喧嘩しながらも徐々に芽生える恋心を巧妙に演じ、新谷真弓との『余儀なく悲劇役者』では、コント的なやりとりが観客の笑いを誘います。各エピソードにはそれぞれ異なる色合いがありますが、共通して人間の本質が描かれています。

難解だと思われがちなチェーホフの作品ですが、土田の巧みな潤色によって、誰にでも楽しめるユーモラスな作品に仕上がっています。舞台上で繰り広げられる人間関係の微妙さや、笑いの奥に隠れた真実を見つけることができるこの作品。ぜひ劇場で体験していただきたいと思います。

公演概要


  • - 公演名: まつもと市民芸術館プロデュース『チェーホフを待ちながら』
  • - 原作: アントン・チェーホフ
  • - 脚本・演出: 土田英生
  • - 出演者: 山内圭哉、千葉雅子、金替康博、新谷真弓、武居卓、土田英生
  • - 松本公演日時: 2025年11月6日(木)~9日(日)
  • - 会場: まつもと市民芸術館 小ホール

チケットは全席指定であり、一般料金は4,500円、25歳以下のU25チケットは2,000円。不可欠なヘルパーとの訪問には障がい者割引も適用されるため、詳細については公式サイトを確認してください。

  • - 神奈川公演日時: 2025年11月12日(水)~16日(日)
  • - 会場: KAAT神奈川芸術劇場 〈大スタジオ〉

この舞台は、笑いの中に人間の真実を発見できる作品です。あなたもぜひ、その魅力に触れてみてください。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11

画像12

画像13

画像14

関連リンク

サードペディア百科事典: 舞台 チェーホフ まつもと市民芸術館

トピックス(その他)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。