2025年米国EVエクスペリエンス調査結果の詳細
J.D. パワーが発表した2025年の米国EVエクスペリエンス調査は、バッテリー式電気自動車(BEV)に関する重要な情報を提供しています。昨年度の調査から顧客満足度が向上したことは、EV市場においてポジティブな動向を示しています。
満足度の上昇
本年の調査によれば、プレミアムBEVおよびマスマーケットBEVの両セグメントで、平均的な顧客満足度スコアが改善されました。特に、マスマーケットのBEV市場シェアは2023年の8.4%から2024年には9.1%に増加し、多くの新モデルが投入される中、各ブランドが競争力を持つようになっています。
EV市場の不確実性
しかし、その背景には、トランプ政権がEV税制優遇措置や公共充電インフラへの資金提供を削減または廃止する可能性があるとの不安があります。このような状況では、顧客が安心してEVを購入できる環境を整えることが求められています。実際、本年の調査でも、EV所有者の半数以上が税額控除を購入の大きな動機として挙げており、この影響が顧客の選択に大きな役割を果たしています。
情報提供の重要性
調査結果の中で特に注目すべきは、EV購入プロセスにおける情報提供の不足です。初めてBEVを購入するユーザーの69%が何らかの情報を受け取っていますが、特定の機能やコストに関する詳細な情報提供は不足していることが分かりました。これにより、顧客の所有体験が最適化されないため、メーカーやディーラーには情報提供の充実が求められるでしょう。
マスマーケットBEVの品質
また、調査では、マスマーケットBEVの品質がプレミアムBEVを上回るという興味深い結果も示されました。多くのBEVモデルに関して、マスマーケットセグメントからの不具合指摘数が少なく、これが総合的な満足度に寄与しています。特に、不具合指摘が少ないモデルの多くがマスマーケットに属していることが顕著です。
プレミアムPHEVの需要
さらに、プレミアムプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の満足度が向上しており、これは顧客にとっての新たな選択肢として期待されています。今年新たに追加されたプレミアムPHEVセグメントのスコアは741であり、マスマーケットBEVやPHEVよりも高い数値を出しています。これにより、フルEVへの移行に悩む消費者にとっての一つの解決策が示唆されます。
公共充電の充実
公共充電の利用に関しては、依然として課題がありますが、マスマーケットBEVでは改善が見られています。特に、公共充電の利用しやすさに関する満足度が前年度比で大きく向上しており、これはインフラの整備や利用促進に繋がるでしょう。しかし、プレミアムBEVとマスマーケットBEVの間には未だ大きな差が存在します。
BEVの再購入意向
調査の結果、94%のBEVオーナーが次に購入する際にも再びBEVを選ぶ意向を持っており、これはEV市場の将来に対する信頼感を示しています。このことは、各自動車メーカーにとって、EVへの投資や新モデルの開発に取り組む大きな励みとなるでしょう。さらに、過去5年間のデータに基づけば、EVオーナーは非常に高い確率で次回の購入でもEVを選択しています。
まとめ
J.D. パワーによる2025年米国EVエクスペリエンス調査は、EV市場の今後の動向を占う重要な指標となりました。顧客満足度の向上や市場シェアの拡大とともに、情報提供や公共充電の整備が進まなければ、持続的な成長は難しいでしょう。自動車メーカーはこの市場の動向をしっかりと見極め、より良い顧客体験を提供することが求められています。