新たな塗装技術の幕開け
自動車業界における環境負荷の低減が求められる中、内浜化成株式会社と日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社(NPAC)が共同で開発した「型内塗装」技術が話題を呼んでいます。この技術は、国内で初めての試みとなるもので、自動車向けの熱可塑性樹脂大型外装部品に応用される予定です。
型内塗装技術の特徴
型内塗装技術は、塗装と成形を一つの工程で行うことができる画期的な方法です。従来方式では塗装を行った後、乾燥に時間がかかるという課題がありましたが、この新技術では金型内で樹脂を成形した後に塗料を注入し、そのまま塗膜を形成します。このプロセスにより、塗装ブースや乾燥炉が不要となり、無駄な工程が排除されます。
さらに、内浜化成による計算では、この新技術によりCO2排出量が約60%削減され、VOC(揮発性有機化合物)の排出量もゼロ化を実現。環境面での大きな改善が期待されています。
無溶剤型塗料の開発
NPACはこの技術のために無溶剤型の塗料を開発しました。この塗料は、VOC含有量が99%以上削減されており、1リットル当たりのVOCがわずか4グラム以下という驚異的な低さを誇ります。これにより、作業環境や周囲の環境にも優しく、一方で従来のスプレー塗装に匹敵する品質を保持しています。
高い表面平滑性と意匠再現性
型内塗装のメリットの一つに、高い表面平滑性があります。金型転写による塗膜形成により、一般的なスプレー塗装では実現しにくい細かなデザインや幾何学模様、エンボス加工などを精密に施すことが可能となります。また、ナノレベルの微細な凹凸を忠実に再現することで、構造発色による虹色の意匠も実現可能です。これは、従来のスプレー塗装では困難とされていたデザインの新たな可能性を示唆しています。
これからの展望
内浜化成とNPACは、今後この型内塗装技術を各自動車メーカーに提供し、量産車への適用を目指すプランを明らかにしています。持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、さらに環境負荷の低減への貢献を進めていく方針です。
企業情報
愛知県豊田市四郷町宮下河原1番地
Tel:0565-45-8621
E-mail: ukkoho@kojima-tns.com
- - 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
大阪府枚方市招提大谷2-14-1
Tel:072-857-5530
E-mail:info.npau@nipponpaint.jp
この新たな技術は、環境への優しさだけでなく、デザインへの幅広い可能性をもたらし、自動車業界における新たなスタンダードとなることでしょう。