中学生サッカー選手の腰椎分離症をMRIと運動評価で解明！

腰椎分離症は、特に成長期の選手に多く見られるスポーツ障害です。この障害は運動制限を強いるため、早期の発見と効果的な予防策が求められています。最近、早稲田大学の研究グループが、中学生の男子サッカー選手を対象にした調査を実施し、MRIと簡易的な体幹筋機能のスクリーニングを活用して、腰椎分離症の特徴を明らかにしました。これにより、見逃されがちな“左右差”が評価され、選手の身体的な支援につながる可能性が示されています。

研究の背景と目的

今回の研究は、12歳から14歳の男子サッカー選手107名を対象に行われました。このグループから片側腰椎分離症の選手19名を抽出し、同条件の対照群19名との比較を行いました。主な目的は、腰椎分離症の選手が持つ体幹筋の特性を解析し、運動パフォーマンスにどのように影響を与えているかを理解することです。

研究の結果

MRIを用いた結果、腰椎分離症のある選手の大腰筋は対照群の選手よりも約12%小さく、その左右差が顕著であることが確認されました。また、脚上げテスト（ASLR）を実施したところ、病変側の骨盤が沈む現象が多く見受けられました。この現象は痛みを伴う選手にも多く、ASLRが陽性であった16名のうち13名が腰椎分離症を抱えていることが確認されました。

使われた評価方法

本研究では、MRIによる詳細な評価だけでなく、現場でも簡単に実施できるスクリーニングテストが重要な役割を果たしました。ASLRテストは、選手が仰向けに寝た状態で片脚を上げ、その際に骨盤の動きに注目します。このシンプルなテストは、選手の筋肉のコントロールがどのように機能しているかを確認する手段として非常に有効です。

さらに、筋肉の形態的評価は、腰部L4/5レベルの部位から行い、多裂筋や脊柱起立筋との関連も検討されました。今回の研究結果は、腰椎分離症の選手特有の筋機能の理解を深めるものです。

研究の意義と今後の展望

この研究は、早期の発見に繋がり、再発予防のアプローチを開発する上で、大きな意義を持っています。体幹筋の評価を標準化することで、選手の評価や復帰のための指針が明確になります。また、運動時の行動解析や動作中の筋活動の調査が今後の課題として浮かび上がっています。

最終的に、腰椎分離症の選手には必要な支援を行い、関連する障害の発生を抑制する手助けが期待されています。早期の気づきと適切な対策が選手たちの競技生活を守る大きな鍵となるでしょう。