映画『この夏の星を見る』に登場する宇宙線検出器に注目！

映画『この夏の星を見る』の魅力とは

2025年7月4日、桜田ひよりを主演に迎えた映画『この夏の星を見る』が全国で公開されます。本作は、直木賞作家・辻村深月の小説を原作としており、特に注目すべきポイントは、映画の中で実際に使用される宇宙線検出器です。これにより、中高生が探究活動を通じてどう宇宙の神秘に迫るのかが描かれています。

宇宙線クラブの登場

映画には、御崎台高校の宇宙線クラブが登場し、彼らが使用する宇宙線検出器は、実際に女子学院中学校高等学校が運用しているものです。この学校の天文班は、宇宙線を観測するための専用の天文ドームを設置し、24時間体制でデータを集めています。特筆すべきは、2024年5月に起こった大規模な太陽フレアに伴うフォーブッシュ効果を捉えることに成功した実績です。

学生たちの探究活動

女子学院の生徒たちは、実際に撮影現場で宇宙線検出器の設置と調整を行ったり、データ解析を手掛けたりしています。特に塚本葉月さんや小林美登里さんは、当時高校2年生ながらも分析力を発揮し、監督や制作チームと密に連携することで、この科学的取り組みを映画に形にしました。また、彼女たちは同じ検出器を使用するアメリカのシカゴの高校生と定期的にオンライン交流を行い、国際的な研究の協力も進めています。

コガモ検出器の活用

映画の中には順天高等学校の生徒が使用する「コガモ検出器」や、手に載せられるサイズの「ミニクラゲ検出器」も登場します。これらの検出器は、京都大学の榎戸輝揚准教授が提唱する雷雲からのガンマ線を観測する「雷雲プロジェクト」で活用されています。生徒たちは、従来の宇宙線探究に加え、これらの新しい装置を使ってさらなる観測の幅を広げています。

加速キッチンの支援

加速キッチンは、映画を通じて学生たちの探究活動を支援する非営利団体で、さまざまな宇宙線検出器を中高生に貸与しています。映画に登場した探究活動を模して、参加者は自身で簡単に組み立てられる検出器を扱い、実際の宇宙線観測を行えるチャンスを得ています。この取り組みは、2020年2月の新型コロナウイルスによる学校活動の制限に対応する形で始まりました。自宅に居ながらも宇宙の神秘に触れることができる環境を提供することで、多くの学生たちが宇宙線観測に興味を持つようになりました。

未来に向けた取り組み

現在では、国内外で200名以上の学生が宇宙線の探究に積極的に取り組んでおり、観測結果のフィードバックを通じて、より深く学び合っています。女子学院高校の生徒たちは、オンラインで海外の高校生と協力しながら観測を行うなど、国際的な交流も果たしています。このような活動が映画を通じて広まることで、次世代への科学の楽しさや探求心を伝えていくことが期待されます。