群馬サファリパークで進化する観光体験、デジタル技術で地域振興を図る試み

群馬サファリパークで進化する観光体験

群馬県で新たな観光の形が始まります。株式会社ヨコオが中心となり、群馬サファリパークを運営する群馬サファリ・ワールド株式会社、Zenmov株式会社、株式会社ミライト・ワンと手を組んで、デジタル技術を利用した観光振興に向けた実証事業を2025年12月1日から実施します。このプロジェクトの背景には、群馬県が推進する「ぐんま未来共創トライアル補助金」があり、地域の課題解決と新しい価値の創出を狙っています。

新たな観光価値の創造

この補助金制度は、「新しいことは群馬で試す」という理念のもと、地域企業や団体が協力して行動し、成功事例を生むことを目的に設定されています。一口に観光と言っても、それぞれの地域に異なる問題やニーズがあります。本プロジェクトでは、ただ概念的に「成功」や「失敗」とするのではなく、データを駆使して結果を可視化し、新たなビジネス機会の創出へとつなげていくことが求められています。

来場者の動向をデータ化

群馬サファリパークと富岡製糸場を対象に行われるこの実証事業では、来場者の行動を匿名でデータ化し、解析する取り組みが行われます。具体的には、入口や出口、チケット売り場に設置されたAIセンサーが来場者の動きを把握し、画像を保存することなく特徴点を抽出します。この仕組みによって、プライバシーを配慮した形で来場動線の可視化が実現します。

行動データから見える新しい価値

群馬サファリパークでは、来場者の流入や滞在時間、退出時の行動パターンなどをデータとして収集し、さらにSNS上での発信傾向や消費行動といった外部データと組み合わせて分析します。この取り組みを通じて、来場者にとっての「体験ストーリー」をデータで裏付け、新たな観光価値の見える化を目指します。

地域全体の動線設計へ

さらに、この実証事業は単なるデータ解析に留まりません。富岡製糸場と群馬サファリパークを同時に訪れた人々の行動を解析することで、地域全体の回遊行動を把握し、最適な観光動線の設計にもつなげる狙いがあります。観光地への道筋をスマートにすることにより、訪れる人々の利便性はもちろん、地域経済の活性化にも寄与することが期待されています。

技術と地域の融合

この実証事業はまず、2025年2月までの期間中に実施され、その成果を基に段階的に他の地域施設や商業エリアにも展開していく計画です。ヨコオは、製造業で培ったデータ解析技術を駆使し、地域の課題を解決する新たなビジネスモデルの確立を目指します。これにより、現代のモノ売りから、地域の体験価値を生み出す「コト売り」への転換が進むことが期待されています。