スポーツの社会的価値を計る新しい試み
笹川スポーツ財団(SSF)は、スポーツの価値を金銭的に評価する新たな研究に乗り出しました。この研究は、スポーツ活動が生活満足度に及ぼす影響を探求し、多様なスポーツがもたらす社会的価値を具体的な数値で示すことに焦点を当てています。中京大学の舟橋弘晃准教授とともに実施されたこのプロジェクトは、国内初の試みともいえるものです。
スポーツ活動がもたらす生活の充実感
研究を通じて明らかになったのは、スポーツ参加が個人の生活満足度に正の影響を与えるということです。例えば、エクササイズやトレーニング、レジャースポーツなどは、定期的な参加が生活の質を向上させることが分かりました。また、スポーツ観戦においても、特に身近な試合を観ることが満足度を高める傾向が見受けられました。
特にスポーツボランティア活動は、実施頻度にかかわらず生活満足度に寄与することが確認されており、社会的価値が最も高いとされています。これにより、スポーツ活動が単なる娯楽でなく、より深い社会的意義を持つことが浮き彫りになりました。
金銭評価の結果
本研究では、スポーツ実施による社会的価値を金銭単位で推計し、年間で個人あたり約36万円から44万円の価値があるとされています。全国規模では、その総額は約14.0兆円から17.5兆円に達すると試算されています。特に、スポーツボランティアの価値はさらに高く、年間約79万円から98万円、全国的には約3.2兆円から4.0兆円と見なされています。
こうした数値によって、スポーツのもたらす価値が具体的に“見える化”されることで、政策立案におけるエビデンスとしての役割を果たすことが期待されています。
ウェルビーイング評価法とは?
研究に使用されたウェルビーイング評価法は、個人の幸福感や満足感を追求する手法で、実際の経験にもとづいてモノやサービスの価値を測るものです。これにより、単なる経済的分析だけでなく、社会的良さを評価するための新たな視点を提供しています。この手法はさまざまなスポーツ関連団体に応用可能であり、今後の議論の中でその活用が広がることが期待されています。
研究の意義と今後の展望
この研究は、従来のスポーツ政策に対する理解を深める礎となるでしょう。「スポーツの力」が単なる言葉ではなく、実際の社会的価値としてしっかりと裏付けられることは、スポーツ振興の重要性を政府がより認識するための材料となります。
今後、スポーツ政策の評価において、より多角的視点をもとにしたアプローチが求められる中で、この研究を通じて得られた知見が広く活用されることを心より願って止みません。
さらに、ウェルビーイング評価法による具体的な評価の普及により、地域社会やプロスポーツの現場で、スポーツを通じた幸福感の拡充につながる政策の実施が進むことが期待されます。
この研究には、今後のスポーツ政策に新たな風を吹き込む力があると言えるでしょう。