福岡大学が志向するeスポーツの未来
福岡大学は12月に記者発表を行い、eスポーツを中心に教育・研究・地域連携を推進する新たな取り組みを紹介しました。このプロジェクトは、商学部の人材育成モデルや福岡大学スポーツ・健康まちづくりコンソーシアム(FUスポまち)の地域貢献モデルなど、多角的な側面を持っています。
eスポーツの新たな価値
永田潔文学長は、この発表に際し「eスポーツは世代や障がいの有無にかかわらず参加でき、ICTの活用や戦略的思考を養う新しいスポーツ文化である」と語りました。本学の多様な学部の特色を生かし、データ分析やAIとの融合、さらにはリアルスポーツとの相互作用を通じて、学生の成長や地域活性化に寄与していく考えを示しました。
商学部の中島賢一教授は、eスポーツ産業の成長に応じた人材育成の重要性を強調。eスポーツが単なるゲーム競技に留まらず、経済や地域振興、マーケティング、データ分析など多岐にわたる周辺産業との関連性を持つことを説明しました。さらに、福岡市のeスポーツ政策とも連携し、地域企業との協力を通じて地元の発展に寄与するモデルであると評価されています。
リアル×eスポーツによる地域貢献
続いて、スポーツ科学部の乾真寛教授がFUスポまちの「リアル×eスポーツ」を基にした地域貢献モデルについて発表しました。この取り組みでは、公民館や病院、地域イベントでのeスポーツ体験を通じて、高齢者向けのフレイル予防活動や世代間交流が行われています。eスポーツは年齢や身体的条件を問わず参加できるため、幅広い年齢層の参加が見込まれ、地域活性化に寄与しています。また、企業や自治体、プロスポーツチームとの連携を進め、「大学スポーツ資源を活用した地域振興モデル創出支援事業」としても認められています。
世界大会出場者の体験談
発表の最後には、FIFAe World Cup 2025のモバイル部門に日本代表として選出された吉田舜映さん(理学部応用数学科2年)が、世界大会への参加体験やeスポーツの魅力について語りました。吉田さんは「試合で一対一の状況下でのプレッシャーを乗り越えた経験が、自分の成長に繋がった。eスポーツを通じて国際的な交流も広がり、異なる文化の友人が増えたことが大きな魅力だと思います」と述べ、eスポーツの持つ多様性を強調しました。
まとめと今後の展望
この発表を通じて、福岡大学はeスポーツを単なるゲームの域を超えた教育と地域連携の可能性を示しました。記者会見の場では多くの質問が寄せられ、eスポーツが社会に与える影響やその新たな可能性に関する関心の高まりがうかがえました。福岡大学が切り開くeスポーツの未来に、これからも注目が集まることでしょう。