スポーツ観戦における感情のシンクロを解明
株式会社電通が、早稲田大学および東海大学との共同研究を通じて、スポーツ観戦中の観客の間で生じる「感情のシンクロ」という現象を科学的に解明しました。この研究は、2025年3月に埼玉スタジアム2002で開催された日本対バーレーン戦を対象に、観戦者の脳波や心拍数といった生理データを収集し、参加者の満足度や心理的なつながりに着目しました。
研究の背景と目的
電通は、2025年に設立予定の「スポーツ未来研究所」を通じて、スポーツビジネスの新しい価値を追求する活動を進めています。本研究においては、FIFAワールドカップアジア最終予選の試合を対象に、観戦中の観客の心理的反応を分析しました。特に、知らない人同士の間でどのように感情が同期するのかに焦点を当てました。
感情のシンクロの実態
研究成果によって、観客の感情が他人と強くシンクロする傾向が確認されました。特に、友人同士で観戦している場合でも、他者との感情の同期がより強く見られることが分かりました。これは、観戦している全体の雰囲気や同じ瞬間を共有することが、感情に大きな影響を及ぼすことを示唆しています。
つづいて、会場観戦者のデータを分析した結果、感情が同期することで観戦体験への集中度が高まり、その結果、観戦後の満足感も向上することが判明しました。これは、観戦者が「その場に深く入り込む」という主観的な体験価値を高める要因となります。
社会的つながりの形成
さらに、スポーツ観戦が初対面同士の心理的つながりを生み出すことも確認されました。観戦者への調査では、他者との心理的つながりが試合の前後で高まったことが明らかになり、場所を共有することが人員の距離感を自然に縮める力を持つことが示されました。
ファンとしての自覚と幸福感
観戦体験を「ファンとして意味のある経験」と捉えた参加者は、その後の幸福感の評価も高い傾向が見られました。特に、他者と感情を共有できたとの認識を持った人々は、ファン意識や人生の充実感に影響を与えることが示されました。これにより、スポーツ観戦は一時的な楽しみを超え、個々のウェルビーイングに持続的な影響を与える可能性があることがわかりました。
今後の展望
電通は、スポーツ観戦の本質的な価値は感動だけでなく、人と人との感情的なつながりにあると考えています。この研究成果を基に、感情のシンクロによる体験を深め、より多くの人々にとって意味のあるスポーツ体験の提供を目指します。また、スタジアムやイベント空間における体験設計や地域社会とのつながりを強化し、スポーツが持つ社会的な力を積極的に活用していく方針です。
今後も電通は、スポーツ観戦の新たな価値を探求し続け、多くのファンに喜ばれる体験を提供していくことでしょう。