『マクベス』開幕
2025-05-12 15:38:54

彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd『マクベス』初日開幕レポート

彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd『マクベス』開幕レポート



5月8日、彩の国さいたま芸術劇場の大ホールで、注目の舞台シリーズ2ndの第二弾となる『マクベス』が初日を迎えた。演出を手掛けるのは吉田鋼太郎。その独特な演出スタイルにより、集まった観客は没入感のある素晴らしい演技に感動を覚えたに違いない。

まず目を引くのは、雷鳴とともに登場する奇怪な三人の魔女たちだ。吉田、稲荷卓央、海津義孝が演じる彼女たちは、観客に異世界から来た存在感を見せつけ、物語の幕開けを飾った。主役マクベスを演じる藤原竜也は、登場するなり強烈な存在感を放ち、彼が持つ野望と葛藤を巧みに表現していく。

物語は、マクベスがダンカン王(たかお鷹)を殺害して王位を奪取するところから急展開を迎える。彼は国王としての資質が欠如しており、急速に心を蝕まれていく過程が見どころだ。マクベス夫人役の土屋太鳳は、力強い愛情とともに複雑な感情を吐露。彼女の演技は観客の心を大きく揺さぶり、「二人で幸せになりたい」という強い願望が徐々に崩れていく様子が切なさを誘った。

藤原は、内に秘めた欲望によって道を踏み外すマクベスの姿を生々しく演じ、その弱さや矛盾を巧みに描写した。また、「今日も明日も…」という言葉には、深い悲しみが込められており、観客はマクベスの運命に一層引き込まれた。

土屋は、「一蓮托生」の思いを抱きつつも、夫の選択に翻弄されるマクベス夫人を見事に表現。彼女の愛情には真摯さがある一方で、運命に対する強い不安も感じさせ、観衆は彼女の壊れていく姿に目を奪われた。

舞台には、虐待されたバンクォー(河内大和)や、冷静なマクダフ(廣瀬友祐)なども登場し、それぞれのキャラクターが持つ微妙な動きや心の葛藤が、物語を一層引き立てている。特に、バンクォーとマクベスの緊張感ある関係は、先の予言がもたらす運命のひとひねりを感じさせた。

吉田鋼太郎による演出は、シンプルなセットの中に言葉の力を引き立てられるよう工夫されており、俳優たちはその力を最大限に発揮していた。音楽を担当した東儀秀樹の楽曲は、場面ごとに変化し、魔女たちの不気味さからマクベスの壮絶な心情まで、感情の動きをより深く掘り下げている。

埼玉での公演は2025年5月8日から25日まで続き、さらには宮城、愛知、広島、福岡、大阪の各地でも上演される予定だ。この舞台がどのような新しい解釈や体験を観客に提供するのか、期待が高まっている。

『マクベス』が描く人間の欲望や悲劇、そして演じる役者たちの迫力溢れる熱演は、誰もが心に残す経験となるだろう。観る者を魅了し続けるこの舞台、ぜひ劇場でその目で確かめていただきたい。


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