中古車業界の厳しい現状
2025年の初めから5月にかけて、中古車販売店の倒産件数が急激に増加しています。経済データを分析する株式会社帝国データバンクによると、倒産件数は50件に達し、前年同期の32件から56.3%も増加しました。これは過去13年間で最も多い水準に迫るものとされ、業界全体での厳しい状況が浮き彫りとなっています。
増加する倒産件数の背景
今回の倒産増加の主な要因は、中古車の仕入れ価格の高騰とそれに伴う利益率の低下です。特に、コロナ禍以降は世界的な半導体不足や円安の影響で、新車の供給量が減少しました。その結果、中古車への需要は高まっていますが、仕入れ価格が上昇しているため、中小企業にとっては厳しい状況が続いています。
このような環境では、資金力の乏しい小規模業者が特に影響を受け、仕入れが困難になり、商品ラインナップが減少することで販売が落ち込みます。実際、倒産件数のうち、負債5000万円未満の小規模倒産が33件を占め、全体の66%以上を占める状況です。
都道府県別の倒産状況
都道府県別に見ると、東京都、埼玉県、愛知県が各5件で最多となっています。次いで、北海道と神奈川県が4件で続いています。これらの地域における中古車販売店の厳しい現実が反映されていると言えるでしょう。
また、年内には年間の倒産件数が100件を超える可能性が高まっています。これは、今後も業界全体が困難な状況に直面することを示唆しています。
景気動向の悪化
最近のTDB景気動向調査によれば、中古車販売店の景気DI(景気動向指数)は39.1と、27カ月ぶりに40を下回りました。これにより、今後も物価の高止まりや新たな代金未払いの問題が影響し、業界イメージの悪化が懸念されます。
このような背景から、中古車販売店の倒産は、しばらくの間高水準で推移することが予想されます。この業界の厳しさは、今後も多くの人々の関心を集めることでしょう。
まとめ
中古車業界は、高騰する仕入れ価格や利益率の低下といった課題に直面しており、今後の展望は非常に厳しいものとされています。クルマを購入する際の選択肢として、中古車を検討する方には、その背景を理解しておくことが重要です。業界の動向を引き続き注視していく必要があります。