角川春樹の歴史と遺産を語る新たな著作『完全版 最後の角川春樹』
2025年3月6日、河出書房新社から新たに出版される『完全版最後の角川春樹』は、戦後の出版界において特異な位置を占める角川春樹氏の破天荒かつ波乱に満ちた人生を深く掘り下げるノンフィクションです。著者の伊藤彰彦氏はこの本において、過去に発表された『最後の角川春樹』をもとに、大幅に改稿を行い新たな視点を盛り込みました。この文庫版は、角川氏の真実の姿とその影響力を読みやすい形に整理したものです。
角川春樹氏は存命中の出版人の中で、その存在感から「戦後最大の出版人」と呼ばれています。彼の多くの顔は、出版界のみならず映画界にも刻まれており、様々なエピソードが本書には収められています。
多才な出版人の顔
本書では角川氏がどのように出版界を変革していったのか、その過程が詳細に描かれています。例えば、彼がメディアミックス商法を導入し、書籍と映像の相乗効果を利用して業界に革命をもたらしたことは、彼の功績の一つ。さらに、翻訳文庫の創設により、日本における文庫文化に大きな影響を及ぼし、多くの作家たちの名作に光を当てました。
また、父である源義氏との関係性も本書の重要なテーマの一つです。春樹氏は父との関係での葛藤を通じて、彼自身の結晶である出版の手法を確立しました。この父子の壮絶な闘いの中に、春樹氏の情熱と理解が深く織り込まれています。
映画プロデューサーとしての活動
春樹氏が映画プロデューサーとしても数々の名作を生み出し、日本映画史に重要な役割を果たしたことも忘れてはなりません。『犬神家の一族』や『セーラー服と機関銃』といった作品は、特に若い世代の心に深く刻まれています。
新たなインタビュー
文庫版『完全版』では、著者伊藤氏自身が新たに行ったインタビューも含まれています。角川アニメの牽引者であるりんたろう氏や、政治における影響を持つ著名な人物たちへの取材が行われ、それぞれの視点から角川氏の影響力を浮き彫りにしています。特に「街の本屋を守る」運動や、角川一族の背景にある不屈の精神が取り上げられる点は、興味を引きます。
本書は、角川春樹氏の創造性や波乱に満ちた道のりを知りたい方にとって、必読の一冊です。著者伊藤彰彦氏が描く「最後の」彼に対する心象風景、それは読者に新たな視座を提供します。
まとめ
戦後の文化を考える上での誠実な試みが込められたこの書籍は、単なる伝記に留まらず、戦後文化論としても大いに意義があります。2025年3月6日発売の『完全版最後の角川春樹』に注目です。ぜひこの機会に、角川春樹という出版人の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
著者紹介
伊藤 彰彦(Akihiko Ito)
1960年生まれ。映画史家であり、数々の著書を持つ専門家です。映画から出版に至るまでの深い洞察を持ち、本書でもその実力を遺憾なく発揮しています。