アートとモビリティが交わる新たな街づくりの試み
近年、誰もがアートを楽しむ社会を実現するための取り組みが進んでいる。その一環として、WHILL株式会社(以下、WHILL社)、一般社団法人天王洲・キャナルサイド活性化協会、株式会社電通の三者が連携し、「ウィルでふだんクエスト at 天王洲・キャナルサイド プロジェクションマッピング HOKUSAI IMMERSIVE ART」と題したワークショップを開催することが発表された。このワークショップは、2025年2月21日から24日にかけて、東京・天王洲の街区を舞台に行われる。
このワークショップの背景には、2024年4月に施行される改正法により、障害者や高齢者に対する合理的配慮が義務化されることがある。現在、国内の65歳以上の人口は総人口の約3割に達しており、アート鑑賞の現場でも段階的に障壁を取り除く必要があるという認識が広がっている。国交省なども、歩行空間や散策をテーマにした取り組みを進めており、さまざまな人々が共にアートを鑑賞できる社会の実現に向かって動いている。
ワークショップの内容と目的
「ウィルでふだんクエスト」は、ウィルに乗ってアートイベントを巡り、現場での体験を通じて新たなアイデアや仕掛けを考える創発型のワークショップである。具体的には、天王洲・キャナルサイドプロジェクションマッピング「HOKUSAI IMMERSIVE ART」と、デジタルアートミュージアム「動き出す浮世絵展TOKYO」の二つのイベントを巡りながら、ウィルユーザーや関係者一同が意見交換を行う。このような取り組みを通じて、さまざまな視点からアートの楽しみ方を探求し、より開かれた街づくりを目指す。
WHILLとインクルーシブデザイン
WHILL社が開発した近距離モビリティ「ウィル」は、免許が不要で歩道を走行できる4輪のモビリティであり、特にそのデザインや操作性に優れている。ウィルは障害の有無を問わず、誰でも安心して利用できるよう設計されているため、多様な社会において重要な役割を果たすことが期待されている。また、ウィルはまちの歩行空間と密接に共生できるため、アートイベントに参加する際の移動手段としても非常に有効である。
WHILL社は、全国各地でウィルを体験できる移動サービスを提供しており、アート鑑賞や町巡りの場でもその活用方法を模索している。2024年12月に行われた過去のまちめぐりイベントでは、参加者から「ウィルが便利だ」と好評を博した。
さらなる展望
今回のワークショップは、電通が主導する「dentsu DEI innovations」が考案した「ふだんクエスト」を取り入れたもので、利用者が自らの体験を通じて新たなアイデアを形成することを目指している。天王洲・キャナルサイド活性化協会も地域活性化に寄与するコンテンツの創出に注力しており、地域の文化を発展させるために積極的に取り組んでいる。
今後もWHILL社は、芸術文化が多くの人々にとってアクセス可能なものとなるよう、さまざまなパートナーと協力し続ける。すべての人々が快適にスマートに移動できる社会の実現を目指し、ウィルを通じて多くの人にアートの魅力を届けることが期待される。