AICA 2025: AIとクリエイティブの未来を拓く贈賞式
2023年12月17日に開催された国際アワード「AICA 2025」贈賞式では、初年度のグランプリ作品とAICA賞の23作品が発表されました。このアワードは、一般社団法人AICAが主催しており、テクノロジーとクリエイティビティの交差点を探るクリエイターや研究者が審査に関与する特異な性質を持っています。
贈賞式の様子
贈賞式には、6ヶ国から37名の受賞者が参加し、それぞれの創作に対する喜びを共有しました。2025年の「ゼロ期」にあたる本年度は、AICA自らが世界中のAIクリエイティブをリサーチし、未来の表現を提案する作品を選出する試みが行われました。審査プロセスと受賞理由は、2026年初春に発行される「AICA白書」で詳しく紹介される予定です。
グランプリ受賞作品
Cyber Subin
グランプリを獲得したのは「Cyber Subin: Evolving Cultural Heritage through Human-AI Co-dancing」で、Pichet Klunchun Dance CompanyとMITメディアラボのCyborg Psychology研究グループのコラボレーションによって制作されました。人間とAIが共に創り出すダンスという新たな表現方法を探求したこの作品は、タイの伝統舞踊をAIと融合させた挑戦的な試みです。審査員からはダンサーの技術力と、CGを用いた深い分析が高く評価されました。
作品の評価
特に印象的だったのは、泰国の伝統舞踊をAIを使って視覚的に解析し、理解を深める資料が存在した点です。AIと人間のダンスの共演により、文化的な価値が新たな光を浴び、技術面でも新しい可能性が示されたことが評価されました。
AICA賞に選ばれた23作品
AICA賞を受賞した23作品は、ジャンルを問わずAIによって新しい社会的インパクトを与えるプロジェクトが揃っています。以下に一部の作品を紹介します。
- - Synthetic Memories (Domestic Data Streamers)
- - Deviation Game (木原共, Playfool)
- - 九段理江に95%AIで小説書いてもらってみた (小説家九段理江と博報堂の作家陣)
- - Natural Intelligence (Circus Grey)
これらの作品は、各々がAIを活用し、クリエイティブなアプローチを提示しています。それぞれの作品に対する評価や解説は、AICAの公式サイトで詳しく見られます。
審査委員のコメント
今回の審査を担当した委員長のコメントによれば、第1回AI Creative Future Awardsは、応募された作品を基にしたのではなく、世界中から「贈賞に値するプロジェクト」をリサーチする形で進められました。審査基準は「コンヴィヴィアリティ」であり、人間がAIとどのように共存し、活動を豊かにしているかを重視しました。
AIが進化を遂げる一方で、その道筋を導くのは人間であり、これが未来のAIクリエイティブを照らす指標になるとされています。本アワードにおける結果は、2025年のAIクリエイティブの姿を反映しており、今後のテクノロジーとアートの関係に大きな影響を与えるものといえるでしょう。
AICA 2025は、単なる評価にとどまらず、AIと人間が共に歩む新しい創作の未来を明らかにするための第一歩となりました。今後の展開に親しみを持って見守っていきたいところです。