XR技術を活用したLBE市場の未来
2026年7月28日、株式会社STYLYとKDDI株式会社が共同で、XR(Extended Reality)を用いた新たなエンターテインメント市場「LBE(Location-Based Entertainment)」を形成するためのコンソーシアム「LBEC(Location-Based Experiences Consortium)」を設立しました。このコンソーシアムの設立は、デジタル技術を活用した空間演出がもたらす新たな体験価値の提供を目的としています。
LBECの意義と背景
「その場所でしかできない体験」を提供するLBE市場は、今後急成長が期待されています。グローバルな市場調査によれば、2024年には54.7億米ドル、2029年には153.3億米ドルに達すると予測されており、年平均成長率は22.9%に達すると見込まれています。特に米国では、Sandbox VRが2億米ドルの売上を記録したり、Netflixが体験型施設「Netflix House」を展開するなど、さまざまなIP(知的財産)やエンターテインメントコンテンツがLBEに進出しています。
消費者の関心が物から体験へとシフトする中、商業施設や映画館、駅、ホテルなど、リアルな場を持つ事業者にとって、LBEは新しい集客手段や収益機会を生み出す期待が高まっています。残念ながら、LBEコンテンツの導入には、各施設ごとの特性に応じた広さや通信環境、安全基準などの条件が影響し、導入には多くの調整が必要です。この結果、費用と時間がかかり、コンテンツの流通を妨げる障壁になることが課題となっています。
映画産業の成功事例に学ぶ
映画産業においては、上映環境や運用の共通仕様が整備されることで、作品のスムーズな配給が可能になりました。これにより、興行市場は大きく発展しました。LBECは、この成功事例を参考にしながら、LBE市場の成長と流通基盤の整備を目指します。
LBECの具体的な取り組み
LBECでは、ロケーション環境やコンテンツ要件を整理し、業界共通のガイドラインを策定することに注力します。これにより、LBEコンテンツ流通の過程で発生する調整コストを大幅に削減し、信頼性の高い流通基盤を構築することを目指しています。
さらに、策定されたガイドラインを基に、参加企業が所有する商業施設や美術館、駅などでのLBEコンテンツの実施を推進します。特に、施設とコンテンツホルダーのマッチングを効率的に進めることで、日本国内におけるLBE市場の拡張を加速させます。また、海外の優れたLBEコンテンツを日本に導入したり、日本発のコンテンツを国外に展開したりすることも視野に入れています。
地域経済の活性化に寄与
LBECの活動は単に利益を追求するだけでなく、都市や地域における新しい体験価値を創出し、地域経済の活性化にも寄与することを目指しています。2030年を見据え、流通総額150億円規模の市場創出を目標に、日本をLBEコンテンツの世界的拠点とすることを目指します。
参画企業の声
STYLYの渡邊執行役員は、「今求められているのは、コンテンツと多様なロケーションを円滑につなぐ『共通の物差し』だ」と述べ、この分野の発展に向けた期待を表明しました。また、KDDIの川本エキスパートも、「技術だけでなく、ルールの整備が市場の成長に不可欠だ」と強調し、LBECの活動がLBE市場の活性化に寄与することを明言しました。
LBECは今後もさまざまな業種から参画企業を増やし、ロケーション事業者、コンテンツ事業者、技術提供者などと連携を深めていく方針です。これからの展開に期待しましょう。