映像表現の革新者、三浦光雄の特集上映
国立映画アーカイブにて、映画界の名匠、三浦光雄の特集上映が2025年4月8日から始まります。この上映企画「撮影監督 三浦光雄」では、彼の卓越した技術と独自の視点が生み出した33作品が上映され、彼の影響を受けた日本映画の文化を改めて感じることができる貴重な機会です。
三浦光雄とは?
三浦光雄は、1902年に生まれ、1956年に亡くなるまで、日本映画史に名を刻んだ撮影監督であり、彼の作品は光と影の美しさが真髄です。彼は、暗部を際立たせるライティング技術を取り入れ、作品に纏う躍動感と深みを与えました。1931年から始まったキャリアは、松竹から始まり、数々の映画会社を経て東宝に至り、過去には100作品を超える撮影を手掛けたと言われています。
特に、三浦は五所平之助とのコンビで多くの名作を残しており、彼の作品には詩的な画調にリアリスティックな要素を取り入れることで、それまでにない映像表現を生み出しました。この上映では、無声映画『愛よ人類と共にあれ』から、彼の遺作である『猫と庄造と二人のをんな』まで、全33作品を振り返ります。特に、彼の技術が集約された作品を通して、その独自の視点を体験できることは、映画愛好家にとって見逃せません。
特集の見どころ
三浦光雄の特集上映では、彼が撮影した作品の中で特に評価されるものを厳選し、映画の背景や制作プロセスに関する解説も行います。例えば、1925年に撮影デビューを飾った『空は晴れたり』では彼の才能初期の作品が見られ、また、1951年の『わかれ雲』や、1953年の『煙突の見える場所』では、彼の技術的熟練が明らかになります。
また、特に注目すべきは、戦後の技術革新を象徴する『わかれ雲』や『朝の波紋』といった作品で、これらは可燃性オリジナルネガからダイレクトプリントによって再上映されます。この機会に彼が追求した陰影美の真髄を大画面で堪能できることは貴重な体験です。
講演会の開催
上映会の他には、特別講演も行われます。4月12日には、映画研究者の鷲谷花氏が『腰辨頑張れ/嬉しい娘』の上映後に講演を行い、さらに4月19日には、宮尾大輔氏による『藤十郎の戀』の上映後に講演が予定されています。これらの講演を通じて、三浦光雄の作品世界への深い理解が得られることでしょう。
開催情報
この特集上映は、1984年の「撮影監督 宮川一夫」以来、およそ40年ぶりの製作監督に焦点を当てたイベントでもあります。映画ファンのみならず、映像美に興味を持つ全ての人々にとって、見逃せないこの特集をぜひ訪れて体感してみてください。開催は2025年4月8日から5月11日までの予定で、場所は国立映画アーカイブ長瀬記念ホール OZUです。詳細は公式ウェブサイトをご確認ください。