映像美の魔術師、ビクトル・エリセ特集
スペイン映画界の巨匠、ビクトル・エリセ監督の魅力に迫る特集が、洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」で放送されます。2023年のカンヌ国際映画祭で31年ぶりの新作『瞳をとじて』を発表したエリセ監督のこれまでの作品を振り返りながら、その独自の映像美と物語に込められた深いメッセージを再発見するチャンスです。
今月放送されるのは、エリセ監督の記念すべき長編映画第1作『ミツバチのささやき【HDリマスター版】』、第2作『エル・スール【HDリマスター版】』そして、新作『瞳をとじて』の3作品。これらはそれぞれ異なるテーマを扱いながら、エリセらしい詩的な視点が表現されています。
『ミツバチのささやき』
放送日:10月22日(水)6:00~
この作品は、エリセ監督のデビュー作であり、現実と幻想の狭間に生きる少女の目を通して描かれます。アナ・トレントが演じる純真無垢な少女が、妖精の存在を信じることで見える世界の美しさと、同時に感じる不安を巧みに表現しています。彼女の大きな瞳が印象的で、視聴者は彼女と共に幻想の世界に引き込まれていくのです。在りし日のスペインの情景が、エリセ特有の繊細な映像美で描かれており、観る者の心に強く訴えかけます。
『エル・スール』
放送日:10月21日(火)6:00~
続いての作品『エル・スール』は、内戦の傷を背負う父と、彼を慕う娘の姿を描いています。ここでは、エリセ監督の美意識が凝縮されており、深い感動を与えます。内戦という過酷な歴史の中で、父と娘の関係が極めて美麗に描かれ、その悲しみと希望が人々の心に響く作品です。本来は3時間の予定が95分に短縮されたものの、その絵画のような映像美は変わらず、多くの観客の心を掴んでやみません。
『瞳をとじて』
放送日:10月23日(木)6:00~
最後に紹介するのは、2023年最新作『瞳をとじて』です。この作品は、失踪した親友と元映画監督の記憶が交錯するミステリーです。エリセ自身の人生や過去作品からの引用が豊富に盛り込まれており、真の集大成とも言える作品です。アナ・トレントが出演していることも話題となっており、彼女の成長した姿を見ることができる貴重な機会です。
放送の詳細
これらの作品は、10月21日(火)から23日(木)にかけて続々と放送されます。各作品の放送時間を逃さず、ぜひご覧いただきたいです。なお、ザ・シネマでは、他にも様々な作品のラインナップが揃っており、ハリウッドの名作からマイナー作品まで、多彩な映画を楽しむことができます。ぜひこの機会に、ビクトル・エリセ監督の深い映像美と、彼が描く心の風景に浸ってみてはいかがでしょうか。