暑さと戦うアスリートの味方『ミストのベール』
近年、地球温暖化の影響により、熱中症リスクが高まっています。特に、猛暑日にはスポーツ選手にとって危険な環境が整ってしまいます。しかし、そんな状況に一筋の光をもたらす製品が登場しました。それが、日本体育施設株式会社が開発した『フィールド冷却細霧システム』です。
スポーツ環境における暑さ対策
夏場のスポーツは、気温や湿度が高くなることで体温が上昇し、選手たちのパフォーマンスが影響を受ける危険があります。特に、体温が40℃以上に達すると脳やその他の臓器に障害をもたらす可能性があるため、適切な対策が求められます。そこで、日本体育施設が開発した『フィールド冷却細霧システム』は、微細なミストを利用してグラウンドの温度を効果的に低下させる役割を果たします。
製品の特徴と効果
このミストシステムは、グラウンド全体を冷却しながらも、競技への影響が出にくい設計になっているのが特徴です。実際に、サッカー場1面あたり1分間に使用する水量は40~45リットルと、従来の散水方式と比較しても経済的です。加えて、環境省のETV事業において、温度低下効果が確実に証明され、最大20℃の温度低下が実現可能であることも明らかになっています。
成果と実証
2024年8月には法政大学の研究チームが行った実証試験において、暑さ対策としての効果がさらに確認されました。この研究では、グラウンドにおいてミストが選手の生理的応答に与える影響が調査され、ミストを使用した環境では深部体温や心拍数が低値を示すことが証明されました。これにより、猛暑日のスポーツ環境での安全性が高まると期待されます。
事例紹介:川崎フロンターレでの導入
日本体育施設が管理する「Ankerフロンタウン生田」でも、このミストシステムが導入されました。この施設はJリーグ川崎フロンターレのユースチームのトレーニング場であり、実際に使用することで選手のパフォーマンス向上にも寄与しています。2024年の日本クラブユース選手権では、川崎フロンターレのU-18チームが決勝に進出し、U-15生田チームが初優勝を果たしました。監督の久野智昭氏も、「ミスト使用により選手やスタッフが練習に集中できた」とコメントしています。
環境維持と選手の安全を両立
こうしたミストシステムは、選手の健康だけでなく、環境にも優しい仕組み構築を進めています。ナチュレと呼ばれる自然素材の充填材を使用することで、日光の照り返しも抑えられ、各種トレーニング状況においても安定したパフォーマンスが求められます。また、グラウンドに施されたドレーン機能により、雨天時でも良好な練習環境が保たれています。
今後への期待
日本体育施設は、1971年に設立されて以来、数多くのスポーツ施設の建設や管理に従事してきました。今回のミストシステムの導入も、その技術の進歩を象徴するものであり、今後さらに新技術の開発と普及が望まれます。猛暑日でも安心してスポーツを楽しめる環境作りに寄与する『フィールド冷却細霧システム』は、これからもアスリートたちの頼もしいパートナーとなることでしょう。