忍者の未来を担う新星！登別伊達時代村から新たな風が吹く

登別伊達時代村は、1992年に設立された江戸時代をテーマにしたテーマパーク。近年、訪日外国人観光客が多く訪れる人気スポットとして知られているが、その一方で「忍者が足りない」という深刻な問題も抱えている。その中で、19歳の若手俳優、穴澤維穏（いおん）さんが注目を集めている。彼女は2024年春から忍者をテーマにした新たな演目に挑む。

穴澤さんは、函館出身であり、子供の頃からこの時代村に足を運び、忍者ショーに憧れていた。この情熱が彼女を忍者の世界へと導き、現在は侍役としての修行に励んでいる。これから彼女がどのように成長していくのかが楽しみだ。

穴澤維穏の挑戦

取材当日、舞台上での彼女の立ち振る舞いは凛としており、まさに忍者への第一歩を踏み出したと感じさせるものだった。彼女は高校生の時、函館野外劇に参加し、殺陣の経験を得た。その際に登別伊達時代村でのアクションを思い出し、「やっぱりここでやりたい」と強く感じたという。彼女の情熱と努力が、これからの忍者演劇の未来を担うことになるかもしれない。

「いまは侍として修行中なんです」と維穏さんは語る。「殺陣の基本は侍の動きから教わっていますので、まずはその所作をしっかり身につけてから、忍者として表現していきたいです。」実際の舞台では、彼女の目指す姿が少しずつ見え始めている。特に、多くの外国のお客さんが訪れる中での非言語的な表現力は、観客との理解を深める重要な要素だ。

忍者不足の現実

登別伊達時代村の忍者ショーは、言葉に頼らないノンバーバルな表現が魅力であるが、その舞台を支える俳優陣は減少傾向にある。芸能部座長の神保利行さんによれば、現在の忍者俳優数は31人まで減少したとのこと。若手の不足は舞台の運営にも大きな影響を与えており、誰かが体調を崩すと公演が難しくなってしまうという。

しかし、穴澤さんのような新しい才能の存在は、舞台の雰囲気や士気を一新する力を持っている。「彼女が頑張ることで、空気が変わる。若い力が加わることで、舞台にも勢いが出てくる」と神保さんは期待を寄せる。

未来へつなぐ文化

「登別伊達時代村」の忍者演劇演出家、山田桂司さんは、忍者は日本の歴史と文化を代表する存在であり、絶やしてはいけないものだと語る。彼は、忍者を支える次世代を育てることに全力を注いでおり、維穏さんのような若者には大きな期待を寄せている。「いまいる人をどう育てるかが大事」と彼は強調する。

若者が忍者としてのスキルを磨き、将来、彼らが新しい忍者文化を継承していくことを、期待してやまない。