映画『ドールハウス』Blu-ray発売記念特別上映の裏側を探る
11月19日(水)、映画『ドールハウス』のBlu-rayおよびDVDが発売され、これを記念して特別上映とトークショーが池袋の新文芸坐で行われました。この特集企画は『矢口史靖の呼吸』と銘打たれ、過去の名作とともに最新作を楽しむという贅沢な時間が提供されました。
特別上映では、矢口監督の初期の傑作『ひみつの花園』や社会現象を巻き起こした『スウィングガールズ』など、彼の作風を深く理解するための作品が上映され、多くのファンが詰めかけました。それに続いて行われたトークショーでは、矢口監督が自身の作品『ドールハウス』についての思いを語りました。
トークショーの内容
トークの冒頭、矢口監督は「今日は楽しい話…いや、怖い話をしに来ました」とユーモアを交えた挨拶をしました。上映前に『スウィングガールズ』を観た多くのお客様に対し、「今、精神がぐちゃぐちゃになっていないかなと心配しています。」と笑いを誘い、2作品の対比が際立ちました。
新作の着想について
矢口監督は、今回の映画のプロットを最初に“カタギリ”という架空の脚本家名義で送り出した経緯を話しました。自らの名前を出すことで先入観を持たれるのを避ける狙いがあったのですが、意外にもこの手法が映画化へとつながりました。
また、映画製作前には『学校の怪談』シリーズで怖い題材に触れた経験があることも明かしました。その中で、「怖いものをいつか映画でやりたい気持ちがあった。」と述べました。これを実現するために制作した『ドールハウス』は、観客に新たな恐怖を提供することを目的としました。
キャスティングの秘訣
今回の主演には長澤まさみさんを起用した経緯についても触れました。彼女がプロットを読んで「この話はどこまで行ってしまうのか」とその面白さに引き込まれたことが出演へとつながったとのこと。部外者を排除せず、彼女のリアリティを生かした演技が想像以上のものになることが期待されたと言います。
アヤ人形のデザイン
映画の重要な要素となるアヤ人形についても、矢口監督は造形者とのこだわりを語りました。「人形は動かさずに、見せない恐怖を演出する。」という考えのもと、既存の映像規則を超えた製作が行われました。観る者にどういった不安感を与えるかを重視した作品となっているのです。
海外での反響
ポルト国際映画祭でグランプリを受賞し、海外での反響も盛況だといいます。観客がギャーと叫ぶ瞬間がある一方で、笑いも生まれるという反応の多様性が新しい視点を提供しています。特に日本の観客に比べて、感情をダイレクトに表現する姿勢は印象的でした。
特典映像の魅力
Blu-ray豪華版には特典映像として、新規制作の「生き人形は実在する」が収録されています。これは、江戸時代から続く人形の文化を紹介し、作品理解を深める内容です。また、監督へのインタビューやメイキング映像も充実しています。
最後に
トークショーの最後には、ファンとの交流を深めるサイン会が行われ、取材を通じて生まれた監督のファンへの愛情を感じました。これまでの作品に続く新たな試みとなった『ドールハウス』は、ただのホラー映画ではなく、新しい体験を提供する作品として、多くの期待を集めています。今後の展開にも目が離せません。