陸上長距離走者と腸内環境の関係に迫る
株式会社コラゾン、早稲田大学、そして国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の3機関が共同で、駅伝競技に参加する長距離走者を対象とした「陸上長距離走者の腸内細菌叢に関する縦断的観察研究」を開始しました。この研究の主な目的は、アスリート特有のコンディションや、競技期間中の季節変動が腸内のバランスに与える影響を科学的に解明し、その結果を競技パフォーマンスの向上や健康維持に結びつけることです。
研究の意義
この研究では、長距離走者の腸内細菌の状態や便中に含まれる代謝物を継続的に分析することで、腸内環境が競技成績や選手の健康状態、さらには体調管理に与える影響を探ります。特に、長期間のデータを通じて以下の成果が期待されています。
- - 腸内環境と競技成績の相関性の解明
- - 科学的根拠に基づくコンディショニング支援の確立
- - アスリート向けの栄養補助食品や飲料の開発に役立つ知見の提供
研究体制の概要
このプロジェクトには、早稲田大学競走部駅伝部門が研究協力者として加わります。役割は以下の通りです。
- - コラゾン: 麹を使用した発酵飲料や調味料など、アスリートの栄養をサポートする食品を提供し、コンディショニングを支援。
- - 早稲田大学スポーツ科学学術院: 研究協力者への説明や同意の取得、データの収集と評価、競技パフォーマンスデータの管理を担当。
- - 医薬基盤・健康・栄養研究所: 腸内細菌叢や代謝物のデータ解析を行います。
実施の詳細
- - 研究課題名: 陸上長距離走者の腸内細菌叢に関する縦断的観察共同研究
- - 実施期間: 2024年10月18日から2027年4月30日まで
- - 実施場所: 早稲田大学所沢キャンパス、医薬基盤・健康・栄養研究所、株式会社コラゾン
倫理審査とデータ管理
本研究は、早稲田大学の倫理審査委員会による承認を経て実施され、研究協力者のプライバシー保護やデータの匿名化に万全を期します。データや試料の取り扱いは厳密なプロトコルに従い、研究成果の公表時には関係者の同意を得た上で情報を発表します。
各法人のコメント
このプロジェクトにおいて、コラゾンの代表取締役大村智則氏は「この研究を通じて、陸上長距離走者特有の腸内環境の特性を解明し、その結果に基づく新たな製品開発を目指しています」と述べています。一方、早稲田大学の宮地元彦教授は「この研究がアスリートの健康維持に寄与することを期待しています。科学的根拠に基づく研究が、競技スポーツ力の強化に繋がることを願っています」との意気込みを語ります。医薬基盤・健康・栄養研究所の副所長である國澤純氏は、「腸内細菌叢がアスリートの健康とパフォーマンスに果たす役割を解明するための重要な試みであり、今後の研究に期待しています」と述べています。
この研究を契機として、腸内環境の重要性が明らかになり、アスリートだけではなく広く一般の人々の健康にも寄与する新たな道が開かれることに期待が高まります。