ロームのEcoGaN™、村田製作所のAIサーバー向け電源に採用
ローム株式会社は、そのEcoGaN™製品を使用した650V耐圧、TOLLパッケージ型GaN HEMTを村田製作所グループのMurata Power Solutionsに提供。このデバイスは、AIサーバー向けの電源ユニットに搭載され、高効率な動作とコンパクトな設計に寄与することが期待されています。2025年から量産が開始されるこのユニットは、5.5kW出力を実現しています。
AI技術の進展と電力供給の課題
昨今のAIやARといったIoT技術の進化に伴い、データ通信量の急増が続いています。特に、AI処理時の電力消費は通常のインターネット検索に比べて数倍と言われており、高速演算デバイスに対する電力供給の効率化が急務となっています。そこで、特に注目されるのがGaNデバイスです。これらは、低オン抵抗と高速スイッチング性能を持ち、電源の効率的な動作に貢献します。
村田製作所のTechnical FellowであるDr. Joe Liuは、「ロームのGaN HEMTを搭載することで、AIサーバー向け電源ユニットの高効率と高電力密度を実現できた」と述べています。GaN HEMTの特性により、スイッチング損失を最小限に抑えることが可能になり、設計の自由度が増しています。
EcoGaN™の特長と利点
ロームが提供するEcoGaN™は、GaNの特性を最大限に生かすように設計されたデバイスで、低消費電力化や周辺部品の小型化を同時に実現することを目指しています。これは、デバイスの複雑さを減らし、設計工数や部品数の削減にも寄与します。
ロームのLSI事業本部パワーステージ商品開発部部長、山口雄平氏は、「Murata Power Solutionsの電源ユニットにEcoGaN™が採用されたことを非常に嬉しく思っています。このコラボレーションを通じて、私たちはより良い製品を市場に提供し、エレクトロニクス業界への貢献を続けていきたい」と伝えています。
村田製作所の製品ラインアップ
村田製作所の製品ラインアップには、AC-DC電源の「1Uフロントエンド」シリーズがあり、そこには高電力密度モデルの「D1U T-W-3200-12-HB4C」や「D1U T-W-3200-54-HB4C」、さらにAIサーバー向けの「D1U67T-W-5500-50-HB4C」などの製品が含まれています。これらの製品は、80+ Titaniumの要件を満たす高変換効率を実現し、最新のGPUサーバーへの電力供給にも適しています。
結論
ロームと村田製作所の協力関係は、エレクトロニクス技術の進化において重要な役割を果たしています。今後も両社は、電源の高効率化や小型化を進め、社会全体の電力需要に貢献することを目指していくでしょう。エレクトロニクスを通じ、人々の生活を豊かにするためのその取り組みに注目が集まります。