映画界の新星育成を目指す「フィルム・フロンティア」プログラムの概要
文化庁の支援を受けて誕生した「フィルム・フロンティア 滞在型企画開発」プログラムは、次世代のクリエイターを育成するための新たな取り組みです。このプログラムは、平成6年度から始まり、特に映画分野において力を入れています。特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)が運営し、今後の日本映画界に新たな風を吹き込む人材の育成を目指しています。
昨年11月に公募が開始されたこのプログラムには、50件を超える応募が寄せられました。その後、厳正な審査を経て、4名の若手映画作家が参加者として選ばれました。彼らは伴走アドバイザーの指導の下、北米、ヨーロッパ、アジアの三つの地域に分かれ、約15日から30日間の滞在を通じて、企画や脚本の開発に取り組むことになります。滞在後もオンラインによるフィードバックを受け、海外フィルムラボや企画マーケット、ピッチイベントに参加する予定です。
参加者の紹介
1. 飯塚陽美(いいづかみなみ)
北海道出身の若手映像作家で、東京大学の大学院で文化人類学を学んでいます。チリで過ごした高校時代の経験をいかし、沖縄の帰還移民についての研究に取り組む傍ら、映像作品の制作も行っています。彼女の作品『Lock Up and Down』は、パンデミック時のベトナムでの生活を描き、2022年のぴあフィルムフェスティバルに入選しました。2023年には、プラハのベトナム人コミュニティの夫婦の生活を描いた『The Taste of Orange』が国際映画祭で上映されました。
2. 佐久間啓輔(さくまけいすけ)
愛知県生まれの映像ディレクター兼シナリオライター。中学生の頃からハリウッド映画に憧れ、渡米してから本格的に映像制作を始めました。2021年には自身の映画『Funny』が多くの映画祭に選出され、2023年にはホラー映画『Rat Tat Tat』の制作にも取り組み、オムニバス映画として公開予定です。
3. 早川千絵(はやかわちえ)
短編映画『ナイアガラ』がカンヌ国際映画祭に進出し、一躍注目を集めた監督です。2022年に長編映画『PLAN 75』でデビューし、カンヌ国際映画祭にて特別表彰を受けるなど、その実力が評価されています。最新作『ルノワール』は、国際共同制作で2025年に日本公開予定です。
4. 山下つぼみ(やましたつぼみ)
神奈川県逗子市在住の映像作家で、動物学を専攻しながら数々のドキュメンタリー番組の制作に携わってきました。実験的なアプローチで「帰属」や「自意識」をテーマに作品を制作し、彼女の短編『かの山』は国内外の映画祭で好評を博しています。
プログラムの展望
本プログラムを通じて、4名の若手クリエイターが国際的な舞台で成長し、日本映画界に新たな刺激を与えてくれることが期待されています。これにより、日本の映画産業全体の発展へと繋がることを願ってやみません。今後、若手クリエイターたちの挑戦からどのような新たな作品が生まれるのか、目が離せません。支援者やメンターとの連携を通じて、彼らが次なるステップへと飛躍する姿が楽しみです。