音楽が都市に与える影響を探る
音楽というアートは、単なるエンターテイメントに留まることなく、都市のインフラとしての役割を果たしています。コンテンツレーベルの黒鳥社が7月中旬に発表する『ミュージックシティで暮らそう:音楽エコシステムと新たな都市政策』は、音楽を都市の持続可能な未来を考えるための鍵と捉えた、非常に意義深い一冊です。この本は、都市における音楽の存在意義とその成果を探究し、実際の事例を通して音楽がどのようにして都市を豊かにするのかを示しています。
音楽のエコシステムとしての観点
著者シェイン・シャピロは、音楽で都市を革新するためのコンサルタント集団「Sound Diplomacy」の創たりでもあります。彼は、ロンドンやアデレード、シドニー、オースティンなどの都市と連携し、音楽を戦略的に活用した施策を進めてきました。本書では、これまでに実施されたプロジェクトの具体例を挙げつつ、さまざまな視点から音楽のエコシステムの重要性に迫ります。
特に注目すべきは、音楽と公共政策の相互関係についての考察です。新型コロナウイルスの影響を受け、音楽業界も多くの試練に直面しましたが、本書はその後の世界で音楽がどのように復興しうるのかを考えます。地域経済や文化、観光、教育、さらには社会的平等など、多課題が絡む中で、音楽が持つ力をどのように引き出せるのかが本書の重要なテーマのひとつです。
シェイン・シャピロの来日
この出版を記念して、シェイン・シャピロが2025年7月22日から27日まで日本に訪れ、東京や福岡、川崎、京都でブックツアーを行います。この独自のイベントでは、各都市の関係者と音楽と都市政策についての議論が行われ、参加者にとって貴重な学びの場となるでしょう。シャピロと意見交換をする貴重なチャンスをお見逃しなく。
目次から見る内容の概要
この書籍の目次には、「なぜ音楽は大切か」、「はじめに政策ありき」、「みんなのための音楽エコシステム」、「ロンドンをミュージックシティに」、「ハンツヴィルの冒険」、「パンデミックのあとさき」と諸テーマが並び、音楽が持つ力を様々に探求しています。
各章の中では、具体的な実施例が豊富に紹介されており、実際にどのように音楽が地域社会の向上に貢献できるのかについて深掘りしているのが魅力です。また、音楽と地域経済や文化の連携についても詳しく触れられており、読者に対して新たな気づきを提供することでしょう。
書籍の詳細情報
『ミュージックシティで暮らそう:音楽エコシステムと新たな都市政策』は、シェイン・シャピロによる編纂で、エヴァンジェリノス紋子と若林恵の訳により、邦訳されます。書籍は2780円(税別)で、2025年7月16日頃の発売を予定しています。関心のある方は、黒鳥社のウェブサイトにて購入が可能です。
音楽がもたらす都市の可能性と、その潜在的な力を再考するためのこの書籍は、音楽業界のプロフェッショナルや自治体、地域づくりに携わる人々にとって必読の一冊です。音楽の持つエコシステムとしての力を、ぜひ体感してみてください。